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仏、温暖化対策に積極姿勢 規格作り主導や国債も
日本総合研究所理事 足達英一郎

2017/4/27付
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 フランスの経済・財務省財務総局から世界にむけて、2月16日から4月16日まで、ひとつのパブリックコメントが意見招請されていた。その題目は、「2015年フランスエネルギー移行法173条5項に関するプロジェクト報告書について」というものだ。

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 フランスでは15年に、「エネルギー移行法」という画期的な法律が成立した。この年の11月末からパリで第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)が開催される予定で、同国では地球温暖化問題に対する関心が高まっていた。世界の温暖化対策のリーダーとしての役割をフランスが果たすという意気込みのもと、成立したのがこの法律だった。

 法律では、30年と50年の温暖化ガス排出量、最終エネルギー消費量、化石燃料消費量、最終エネルギー消費量に占める再生エネ比率などを意欲的に定めている。

 加えて、給食や配膳サービス企業に食品廃棄物削減を義務化する、20年1月からプラスチック製のコップ・食器・皿の使用を禁止する、レンタカー会社やタクシー・バス会社は新車購入時の低エネルギー車割合を10%以上にする、50年までに新築不動産物件は全て政府の定める低エネルギー建物(LEB)基準を順守する――など。幅広い規制を盛り込み、世界にも類を見ない広範な気候変動対策法となった。

 同法の173条は、一定規模以上の上場企業、投資家、運用機関に対して、気候変動リスクに関する情報を「コンプライ・オア・エクスプレイン(従うか、さもなければ説明せよ)」原則に基づき、アニュアルリポートの中で開示することを義務化した。

 これも世界の金融関係者から、将来のグローバルな潮流を占うものとしてとりわけ注目を集めることになった。さらに、同条5項に書かれた「フランス政府は16年末までに、銀行が通常行っているストレステストに気候変動リスクをどう反映したらよいかに関する報告書を作成し、議会に提出しなければならない」という規定に関して、世界の銀行家が固唾をのんで成り行きを見守っている状況は、1月の拙稿でも紹介したとおりである。

 2月、フランス政府が議会に提出した当該報告書の抄録版が公開され、機を同じくしてパブリックコメントの意見招請が開始されたというのが、今回の経緯である。

 当該報告書の抄録版には、(1)気候変動がもたらすリスクは、物理リスク(異常気象などが引き起こす物的損害など)と、移行リスク(低炭素社会への構造転換に伴うもの)に分類できる。(2)こうしたリスクは銀行にとって従来のリスク管理の枠組みで理解されることが重要。(3)銀行にとって把握できている側面もあるが、明らかにされていないリスクもあり、徹底した分析が必要。(4)銀行の脆弱性をよりよく理解するには、企業・産業別の分析が不可欠――などの内容が盛りこまれた。

 フランスの積極姿勢はほかにもある。昨年末、国際標準化機構(ISO)は「気候変動に関連した投融資活動の評価と報告に関する国際規格」の策定作業に着手した。将来的にはISO14097という番号が付与されるという。この動きを主導したのも、フランス規格協会(AFNOR)で、作業部会の議長国にはフランスが就いた。

 1月24日には、フランスは同国初となるグリーンボンド国債を70億ユーロ発行した。グリーンボンドとは、調達資金の使途を環境目的に限定する債券である。早速、日本の生命保険会社や信託銀行もこの国債を購入したと伝えられている。

 米国の温暖化防止政策が後退し、英国も欧州連合(EU)離脱が優先課題となるなか、フランスのリーダーシップを果たそうとする姿勢は際立つ。23日から始まった大統領選挙でも過激な政策転換の可能性は低そうだ。温暖化防止政策の行方を占うにあたって、今後もフランスから目を離すことはできない。

[日経産業新聞2017年4月27日付]

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