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「脱時間給」制度の審議に逃げ腰になるな

2017/4/21 2:30
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 働き方改革への政府・与党の本気度を疑わざるを得ない。労働時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」の制度化を盛り込んだ労働基準法改正案について、今国会の成立も見送ろうとしているからだ。

 人工知能(AI)の普及などで働き手は一段と創造性を求められており、脱時間給はこうした社会の変化に応じたものだ。早期の制度化が求められる。にもかかわらず労基法改正案は一昨年4月に国会に提出されて以来、たなざらしにされている。政府・与党は認識を改めてもらいたい。

 改正法案の成立を先送りするのは7月の東京都議選を控え、野党の批判が高まるのを避けるためとみられている。かねて野党は法案を「残業代ゼロ法案」と名づけて反発している。

 政府は秋の臨時国会に残業時間への上限規制などを定めた働き方改革関連法案を提出する方針で、労基法改正案はこれと一体で審議することで成立させやすくなるとの読みもあるようだ。

 だが、脱時間給制度の創設は、成果が働いた時間に比例しない仕事が増えてきたことに対応した時代の要請だ。審議に逃げ腰になる必要はまったくない。

 政府の制度設計では対象者を高収入の一部の専門職に限っているが、本来はホワイトカラーにもっと広げるべきものである。

 残業に上限を設ける一方で、長時間労働を助長しかねない脱時間給制度を新設するのは矛盾する、という批判がある。しかし脱時間給制度では、本人が時間の使い方を工夫して生産性を高めれば、労働時間の短縮が可能になる。会社に拘束されずに働けるという長所にもっと目を向けるべきだ。

 導入にあたっては本人の同意を条件とし、企業に(1)年104日以上の休日の確保(2)1カ月または3カ月間の労働時間への上限設定――などのいずれかを義務づけることとしている。健康確保のための対策は企業の労使が議論して充実させる余地も大きい。まずは制度の利用に道を開くことが必要だ。

 労基法改正案は、仕事の時間配分を自分で決められる裁量労働制を提案型の営業職などに広げることも盛り込まれている。

 国際的にみて低い日本のホワイトカラーの生産性向上を促す意義は小さくない。成長戦略として法案の成立を急ぐ必要があることを政府・与党は自覚してほしい。

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