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春秋

2017/4/16 2:30
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 「金の無い奴(やつ)が、有るような顔をして、横行闊歩(かっぽ)するところさ」とある人が言う。「都会人でも田舎者でも、不思議に同化してしまう」と別の口が語る。社会派ルポルタージュの先駆者、松崎天民は昭和2年に著した「銀座」で、この街を巡る多種多様な声を紹介する。

▼統一感や落ち着きにはやや欠けるが、舶来品やカフェーなど流行のあれこれに満ち、刺激を求める人が昼も夜もどっと繰り出す。そんな活気が描かれている。関東大震災からまだ数年。銀座復活の原動力となったのが、松屋と松坂屋という二大百貨店が銀座に進出し、表通りに堂々たる店を構えたことだったと松崎はみる。

▼その松坂屋が銀座の店を閉じたのが4年ほど前のこと。近く、その跡地に新たな大型店が開業する。近隣の土地も含めた再開発で銀座最大の商業施設となるそうだ。高級ブランド店や名菓の店などを手堅くそろえる一方、力を入れたのが外国人客への対応だ。1階に大がかりな観光案内所を設け、銀座の顔を目指すという。

▼百貨店の登場は通の大人の街だった銀座を大衆の街に変えた。バブル崩壊以降、地価下落で進出した低価格ファッション店は若者客を銀座に呼び戻した。店や人は入れ替わっても、それぞれの時代の「旬」であるという点は一貫している。変えるものと守るもののバランスの巧みさは、企業の生き残り策にもヒントになる。

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