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月600円でアニソン5万曲聴き放題 10社連合の勝算

2017/4/12付
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 アニメ文化の普及に向け、ビクターエンタテインメント系のフライングドッグなど10社が手を組んだ。3月にアニメソング専門の定額聴き放題サービス「ANiUTa(アニュータ)」を開始。「アニソン100%」のうたい文句で注目を集めている。鳴り物入りで登場した定額聴き放題も、日本では定着したとは言い難い。アニソン界の呉越同舟に勝算はあるか。

利用状況をマーケティングに生かせるのも参加企業の利点
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利用状況をマーケティングに生かせるのも参加企業の利点

 「アニメ好きの人口が減ってしまうことが怖い」。3月24日、都内で開いた記者会見。新会社アニュータの代表に就いたフライングドッグの佐々木史朗社長は危機感を吐露した。脇を固めたランティスの井上俊次社長やKADOKAWAの井上伸一郎取締役らも神妙な顔でうなずく。

 アニュータは月600円で5万曲超のアニソンが聴き放題になる。人気シリーズの「機動戦士ガンダム」「プリキュア」「ラブライブ!」「マクロス」「涼宮ハルヒの憂鬱」など、1970年代から直近に至るまでの楽曲を配信。システム面はレコード各社が共同出資するレコチョクが担う。

 アニメ最新情報の配信やライブチケットの先行発売なども実施する。アニメ好きしかいない「専門」だからこそ、かゆいところに手の届くきめ細かなサービスに集中できる。「総合店があるのに、電車賃を払ってレコード専門店に通うファンがいる」と佐々木氏。何でもそろう時代でも、専門店には確かな価値があるとみる。

 聴き放題サービスでは米アップルや米グーグル、英スポティファイが大手だ。世界から数千万曲を収集し、様々なジャンルの音楽を一括で聴ける。しかし、数千万曲の中でも聴きたい曲がなかったり、膨大すぎて使いづらかったりといった弱点も指摘されている。

 数千万曲で収益を分け合う仕組みのため、十分な分配金を受けられるかも未知の領域だ。日本は音楽市場の大半をCDなどパッケージ商品で稼ぐ世界的にもまれな市場構造を持つ。CD販売への影響を警戒し、聴き放題への便乗は慎重になりがちだ。現状、聴き放題にアニソンがほぼ皆無なのも、警戒心の表れだ。

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 それでも10社連合が立ち上がったのは、CDの限界が目に見えていたから。2016年の生産額は1748億円。07年の半分近くまで減った。スマートフォンが普及した今では、CDの再生環境さえ持たない人が多い。まして、若年層にファンが多いアニソンならなおさら、CD依存では先細りを意識してしまう。

 「会員数次第だが、アニュータなら数千万曲レベルの大手サービスで配信するより多額の分配ができる」(佐々木氏)。国内では初年度で10万人の有料会員を見込む。年内には海外進出も計画。アニソンは日本語のまま海外でも楽しまれる分野だ。数十万人規模の加入に期待が持てそうだ。

 一方でアニュータにはアニソン専門ならではの難しさもある。アニソンの魅力はアニメあってこそで、アニソンを聴くのはその音色にアニメのシーンや思い出を想起するからだ。「アニソン好き=音楽好き」ではない。音楽配信でありながら、会員特典などのサービスでアニメの世界観に浸る楽しみを増幅させられるかが成功のカギになる。(新田祐司)

[日経MJ2017年4月12日付]

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