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人材投資は成長と財政の両立が前提だ

2017/4/7 2:30
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 政府は今年の経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)で、日本経済の生産性向上に向け「人材への投資」の重要さを訴える。

 日本では少子高齢化がすすみ、近い将来に人工知能(AI)が急速に普及すると見込まれる。そんな中で個人一人ひとりの「人的資本」に着目し、その質を高めて持続的な経済成長をめざそうという発想は理解できる。

 一方で日本の財政事情は先進国で最悪である。経済の実力である潜在成長率を高めると同時に、財政健全化の道筋を固める。政府・与党はそんな成長と財政の両立を意識して、人材への投資の具体策と財源を詰めねばならない。

 政府・自民党内からは、高校や大学の無償化を視野に、必要な財源を「教育国債」で賄う案が出ている。幼児教育から高校、大学までの教育費を無償にした場合、総額で4兆円程度のお金が追加で要るとの試算もある。

 仮にこうした費用を教育国債で調達するなら問題だ。国の借金が増え、本来なら現役世代がすべき負担を次世代に押しつけてしまうからだ。

 文部科学省の調査によると、昨年時点で専門学校を含む高等教育機関への進学率は80%となり、過去最高となった。

 進学意欲が強くあるにもかかわらず、経済的な理由で断念せざるを得ない学生には支援の手を差し伸べたい。しかし、真に支援が必要な学生の範囲を超えて教育無償化の対象を広げるならば、バラマキとの批判は免れまい。

 自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」は、企業の労使が負担する保険料を幼児教育の無償化の財源とする「こども保険」の創設を提言した。

 社会全体で幼児教育を支えようという視点は教育国債よりは良いが、保険料という財源が適切か、使途をどうするかといった詰めるべき課題は多い。

 米欧では、個人の所得格差が拡大している。幼児期からできるだけ多くの子どもに適切な教育機会が与えられれば、長い目でみて所得格差が縮み、経済全体の生産性も高まる。そんな米国の実証研究の成果は一考に値する。

 ただ、日本には教育費を大盤振る舞いできるほどの財政的なゆとりはない。政府・与党は費用対効果の高い教育・人材投資の方策と、安定財源の確保策をセットで検討してほしい。

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