面白く生きる! (日経産業新聞)

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

異文化楽しみ、信頼関係構築する力を会得
グロービス経営大学院学長 堀義人氏(61)

2017/4/7付
共有
保存
印刷
その他

 「文化に良しあしはない。単に違いがあるだけだ」

 僕が高校時代にオーストラリアへ留学したときに、ロータリークラブで奨学生を担当する地元の名士からかけられた言葉だ。それ以来、米国の大学院に留学したときも、スイスのダボス会議に参加したときも、異文化に遭遇するときはこの言葉を基本として肝に銘じている。

 自国文化を優れていると見なすと、他の文化が劣っているように思われ「こっちの方が良いですよ」と教えたくなる。だが、相手にとってそれは押しつけにしか感じられないこともあるのだ。

 一方、他文化が良いと認識すると、自国文化に不必要な劣等感を持つ。まさに「文化に良しあしはない。単に違いがあるだけ」なのだ。

 最近、グロービスで教える異文化コミュニケーションの教科書を読み、3つの重要なステップについて学んだ。(1)違う文化に触れたときは良しあしの判断を留保する(2)なぜその違いがあるのか理解するよう努め、共通する部分を見いだす(3)違いを尊重したうえで、双方の共通部分を基にラポール(信頼関係)を築く――だ。

 僕は幸いにも留学した高校生のときから知らぬ間にこれらを訓練されてきた気がする。異文化コミュニケーション能力は、外国語よりも習得が難しいと思っている。外国語は反復練習で何とかなる。ただ異文化に接する姿勢は反復学習だけでは厳しく、なるべく早い時期に異文化に触れて、会得することが望ましい。

 だからこそ、堀家の子どもには中学高校時代に最低1年間の留学を「必修科目」として課している。

 先日、留学先のカナダから一時帰国した三男と話をする機会があった。聞くと「友達とけんかをした」という。寮でシャワーに入っていたときにいたずらで電気を消された。それまでおとなしく黙っていたが、相手にものすごく怒ったところ、それ以降いたずらはなくなったという。

 三男にはこう伝えた。「海外では主張しないと自分の自由度がどんどん狭められていくよ。嫌なことは嫌ということが重要だよ」。そしてこう続けた。

堀義人(ほり・よしと)1986年京大工卒、住友商事入社。米ハーバード大経営大学院で経営学修士号(MBA)取得後、92年にグロービス設立。「ヒト・カネ・チエの生態系を作り社会の創造と変革を行う」ことを目標に、経営大学院の経営、ベンチャーキャピタルの運営、経営ノウハウの出版・発信を手掛ける。茨城県出身。55歳。

堀義人(ほり・よしと)1986年京大工卒、住友商事入社。米ハーバード大経営大学院で経営学修士号(MBA)取得後、92年にグロービス設立。「ヒト・カネ・チエの生態系を作り社会の創造と変革を行う」ことを目標に、経営大学院の経営、ベンチャーキャピタルの運営、経営ノウハウの出版・発信を手掛ける。茨城県出身。55歳。

 「高校時代に留学すると、友人同士でふざけたり、スポーツで一緒に汗をかいたりしながらコミュニケーションができる。もちろん英語を学ぶことは大切だけど、それ以上に異文化コミュニケーションの方法論を学ぶことが重要なんだよ。異文化コミュニケーション能力は何歳で学ぶかによって違いが出てくる。社会人になってからだと、どうしても形式的なビジネス上での付き合いになる。心と心で深く付き合うということは難しくなるんだよ」

 僕も高校時代に留学したときに水球やバスケットボール、ラグビーのチームに入り、学校代表として戦った。スポーツのときに会話する英語は片言だが、その場で培われたコミュニケーション能力がその後の人生にとって大きな財産となった実感がある。

 僕が留学以外で異文化能力がぐんと高まったと感じたのは、若手起業家の国際的な交流組織であるYEOのアジア代表を務めたときだ。当時、僕は30代前半だった。アジア諸国に組織をつくるために各国を訪れてセミナーを開いたり、アジアのボードを組成して運営したりした。

 一口にアジアといってもそれぞれの国の言語・文化・宗教・経済の発展度合いは違う。アジア代表として世界組織のボードに入ると、世界から集まってくる人との議論になる。国連の代表として発言しているような感覚だった。

 「英語力以上に重要なのが異文化コミュニケーション能力だよ。異文化に触れて、違いを楽しみ、そして数多くの人と信頼関係を築く方法論を身につけてきてね」。15歳の息子にこう伝えて、カナダへ送り返した。

[日経産業新聞2017年4月7日付]

「日経産業新聞」「日経MJ」をタブレットやスマートフォンで

 全紙面を画面で閲覧でき、各記事は横書きのテキストでも読めます。記事の検索や保存も可能。電子版の有料会員の方は、日経産業新聞は月額1500円、日経MJは同1000円の追加料金でお読み頂けます。

面白く生きる! (日経産業新聞)をMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

【PR】

面白く生きる! (日経産業新聞) 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

北朝鮮の軍事パレードに登場したICBM「KN08」かその改良型とみられる弾道ミサイル(15日、平壌)=共同

共同

北朝鮮問題で国家の「パワー」と国際情勢学ぶ

 「今日の学びトークは~」。子供たちが囲む食卓で、期待感を高めるべく語尾を上げて間をおく。「北朝鮮問題です」と宣言すると、子供たちが「オー」と反応し、僕が語り始める。その夜も食卓でテーマを決めて話をす…続き (4/26)

入社式で社歌を歌うトヨタ自動車の新入社員(3日、愛知県豊田市)

人材呼ぶ職場作りへ、「トップが楽しむこと」大事

 新入社員が新たな空気を職場にもたらす季節となった。企業成長の大きなカギとなるのが人材だ。「どうすれば優秀な人材を獲得できるか」。創業以来ずっと考えてきたのがこの問いだ。優秀な人材を獲得できたら成長し…続き (4/19)

外国人に対する苦手意識を克服するには日常的な交流が大切(異文化交流を目的につくられた寮で談笑する外国人学生たち)

異文化楽しみ、信頼関係構築する力を会得

 「文化に良しあしはない。単に違いがあるだけだ」
 僕が高校時代にオーストラリアへ留学したときに、ロータリークラブで奨学生を担当する地元の名士からかけられた言葉だ。それ以来、米国の大学院に留学したときも…続き (4/12)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

日経産業新聞 ピックアップ2017年4月28日付

2017年4月28日付

・プログラミング技術高い学生、面接行くと支援金 ギノ、IT企業の採用後押し
・旭化成 深紫外線LEDで殺菌 窒化アルミニウム活用
・メタウォーター、カンボジアで省エネ設備 浄水場ポンプの消費電力削減
・三井化学、化学品製造に使う触媒酵素、社外向けに開発
・ALSOK、水害時の避難を支援 介護施設の計画づくりや訓練…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

[PR]

関連媒体サイト