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iPS治療の普及策工夫を

2017/4/6 2:30
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 iPS細胞を使った再生医療が普及へ向けて一歩前進した。理化学研究所や京都大学のグループが他人のiPS細胞を使って目の難病を治療する臨床研究を始め、1例目の手術を無事に終えた。

 他人の細胞を使える意味は大きい。患者本人の血液などからその都度iPS細胞を作るのに比べてすぐに治療でき、手間もコストも減らせるからだ。ただ、同じ方法がそのまま様々な病気の治療に使えるわけではなく、課題は多い。

 まず、安全性の確認をより徹底させなければならない。今回、治療した網膜は他人の細胞を移植しても拒絶反応が起きにくい性質が知られている。入れた細胞数も比較的少なく、その分安全だ。

 一方、期待されている心臓病や脊髄損傷の治療では10倍以上の数が必要になる。体内なので拒絶反応による炎症やがんが発生しても見えにくく、難易度が増す。

 iPS細胞の円滑な供給も欠かせない。臨床研究では、京大が特殊な免疫型の人の細胞から作り、何重にも品質を調べて備蓄したiPS細胞を使っている。

 こうした細胞を供給できる機関は国内ではほかにない。米欧のように専門企業が商業的に治療用細胞を作り、病院などに安定提供できるようにすることも課題だ。

 日本では、2014年施行の改正法で再生医療に使う細胞について新薬承認を得やすくなった。しかし、韓国や米国も追随して法制度を改めており、普及へ向けた日本の優位は早くも崩れつつある。

 再生医療はiPS細胞以外を使う治療もある。病気ごとにどんな細胞が最適かを判断し、ものによっては海外勢と組んで製品化を加速する工夫もいるだろう。その際、大学や企業は重要な特許をしっかり押さえ、ライセンス契約をぬかりなく進めてほしい。

 保険適用も必要だが広げすぎると財源がもたない。既存の治療と比べ、再生医療がどれだけ効果的かを見極めなければならない。国の普及策は、患者の利益と経済性の両面を考慮する必要がある。

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