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春秋

2017/4/3 2:30
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 地方自治体の福祉課保護係。難しい相談者への応対など仕事の厳しさを体験し、落ち込む新人職員を職場の先輩が励ます。「がんばれよ。俺たちはみんな応援してるんだからな。一人で解決しようとするな。みんな仲間だ、そう思ってろ。なんでも喋(しゃべ)れ、相談しろ、な」

▼小説「フクシノヒト」(役所てつや原案、先崎綜一著)のひとこまだ。近年、本作のような「おシゴト系青春小説」と呼ばれる作品群が人気だ。若い社会人が理解ある上司や先輩に見守られつつ、気のあう同僚とともに仕事の壁を乗り越え、人としても成長していく話が多い。その人気からは読み手の真摯さが垣間見える。

▼今日が入社式という企業も多かろう。売り手市場の就活で、仕事を得るまでの道は比較的、楽だった新人たちだ。そのぶん、いざ働き始めてから壁や矛盾に悩み、苦しむかもしれない。年長者の目には頼りなくも映ろう。しかし、わが身をふりかえれば誰もが思い当たるとおり、最初から即戦力である新社会人などいない。

▼黒沢明監督の映画「七人の侍」。武者修行中の若者を「まだ子供だ」と退け、戦闘チームに加えようとしないリーダーに、別の侍がこう助言する。「子供は大人より働くぞ。もっとも、これは大人扱いをしてやればの話だが」。甘やかさず、突き放さず。さじ加減の巧拙が、経験豊かな上司や先輩の腕の見せどころになる。

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