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成長を後押しする労働改革は力不足だ

2017/3/29 2:30
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 政府が働き方改革の実行計画をまとめた。長時間の残業に罰則付きの上限規制を設けることや、仕事が同じなら賃金も同じにする「同一労働同一賃金」に沿った非正規社員の処遇改善などは、評価できるだろう。

 だが、もの足りない点も少なくない。成長分野に労働力を移していく施策や、働き手がより付加価値のある仕事をするための教育訓練の支援などだ。日本の成長力を高めるという視点に立って、政府は労働分野の改革をさらに進めるべきだ。

 実行計画は、昨年9月に発足した政府の働き方改革実現会議が今後の政策を整理したものだ。

 残業時間への上限規制は、いまは無制限に延ばせる時間外労働に歯止めをかける意義がある。同一労働同一賃金の考え方も、拡大した正社員と非正規社員の賃金格差を縮める効果が見込める。その際、経験や能力、貢献度などに応じた賃金の差は認められるとしており、これは妥当だろう。

 一方で会議は、多彩なテーマを駆け足で議論してきたせいもあって、国全体の生産性を高めるための改革が力不足だ。

 重要なのは、伸びる分野に人材が移りやすい柔軟な労働市場の整備や、人が需要のある仕事に就くための教育訓練の充実である。

 転職や再就職の支援策として、実行計画は中途採用でのインターンシップ(就業体験)の拡充などを挙げた。しかし、もっと思い切った施策が求められる。たとえばハローワーク業務の民間開放を進め、競争を活発にして職業紹介サービスの質を高めてはどうか。

 教育訓練では出産や育児で離職した女性など、社会人の学び直しの支援などが盛り込まれた。ただ人材育成は充実させる余地が大きい。国や自治体の職業訓練はバウチャー(利用券)方式にして受講者が自由に講座を選べるようにすれば、訓練施設間の競争が起こって講座の質が向上しよう。

 労働分野の改革は税制や社会保障制度の改革と一体的に進める必要もある。女性の就業を促すため配偶者控除は抜本的に見直すべきだ。年金制度も高齢者の就労を促進する工夫が要る。

 外国人の受け入れ政策も見直しが求められる。問題の多い技能実習制度に代わり、一定の職務能力を備えた人材を受け入れる新たな仕組みの検討が必要だろう。労働改革は課題がなお多い。

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