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春秋

2017/3/18 2:30
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 たいしたことはないよ。福沢諭吉の学力をずばっと斬った人がいる。榎本武揚である。幕府がたおれると、海軍を率い北海道を占領。新撰組の土方歳三とともに箱館戦争を戦った軍人だ。降伏し刑に服すが、洋学の大家なにするものぞ。日本一の化学者を自負していた。

▼知識は最新だった。幕府が軍艦、開陽丸を発注したオランダで学んでいる。砲術や国際法など多分野に及ぶ。情報通信が大事と考え、下宿にモールス電信機を備えつけた。トンツーの信号でSOSを送る。あの技術だ。使いなれ、相当の腕前になったという。装置と回線などを持ち帰るが、動乱でお蔵入りになってしまう。

▼その通信の子孫がオランダを揺さぶった。たやすく発信できる交流サイト(SNS)などが勢いづく。極右・自由党の党首は「オランダのトランプ」とよばれ、この方式で反移民などの過激な情報を流す。感情に訴え、振り回す。うなずく人も増えた。選挙では、第1党もと心配されたが伸び悩んだ。それでも勢いは残る。

▼榎本武揚は「北海道共和国」をうちたてた。欧州の先端技術に触れ民主政にあこがれたのだろう。日本初の選挙で、臨時政府の総裁にもなっている。通信は民主主義のいしずえだ。デマや風評を運べば、国の行方をあやまる。150年で技術はすばらしく進化した。やっかいな落とし穴も広がった。かつてない用心がいる。

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