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時価総額300億ドル 10秒動画「スナップチャット」上場
藤村 厚夫(スマートニュース執行役員)

2017/3/20付
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 若者をターゲットに特異なスタイルを売りにする交流アプリ「スナップチャット」を運営するスナップ社が、2日にニューヨーク証券取引所に上場した。先行する交流サイト(SNS)大手のフェイスブックに規模では遠く及ばないが、初日には時価総額が300億ドル以上へと跳ね上がった。同社は30億ドル以上の資金調達も実現した。久々の大型上場だ。

スナップチャットは10秒以内で消える写真メッセージが特徴
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スナップチャットは10秒以内で消える写真メッセージが特徴

 興味深いのは、フェイスブックとの関係だ。スナップ創業者らは、2013年にフェイスブックから30億ドルの買収提案を受けている。

 フェイスブックは前年に、写真特化型の交流アプリ「インスタグラム」を10億ドルで買収したばかりだった。規模で勝るインスタグラムより数段高い評価だったが、スナップ社は買収提案をはねのけた。当時提示された額を公開市場から調達したことになる。

 スナップチャットが注目を浴びる理由は、写真や動画を用いて若者同士が楽しく交流するのに徹した発想にある。有名な10秒(以内に時間を自由に設定できる)で消滅する写真メッセージはその一例だ。

 先行するSNSの多くが、ユーザーが投稿した写真やコメントを広く伝えたり、長く保存したりするのを意図しているのに対し、スナップチャットの投稿は特定のユーザーあてに限定し、それも消滅するのが前提だ。

 今ではライバルのインスタグラムもプライドをかなぐり捨てて模倣する機能で、若者たちの気軽な交流に火をつけた。送信する写真や動画を手軽に装飾できるのも特徴だ。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身、60歳。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身、60歳。

 このようにスナップチャットは、画像中心のメッセージをたわいのない会話そのもの、一瞬の自己表現と位置づける。自らを「カメラカンパニー」と定義し、ニュースなど高い価値の情報(コンテンツ)の伝達を担うメディア化したSNSと区別するのはその理由からだ。

 いいかえれば、若者への影響力こそがスナップチャットの真価を決めるといってもいいだろう。米国の投資銀行が例年行っている10代が対象の調査では「若者にとって最も重要なSNS」の首位の座を昨春、インスタグラムから奪った。

 別の調査企業の調査では、米国の18歳から24歳の若者の70%近くが、スナップチャットを利用しているという。若者への影響力で先行する大手をしのいでいることは明瞭だ。

 フェイスブックやインスタグラムには、悩みがある。いずれも成長の中で、ユーザーの投稿活動が停滞してきていることだ。フェイスブックでは、大手ニュース企業などが大挙して記事を投稿するため、ユーザーは「読む」のに忙しい。

 インスタグラムでも、モデルやブランドなどからのハイレベルの写真投稿が多くなり、「見る」ことに傾きつつある。このような傾向が進めば、広告事業自体も停滞してしまう。

 その点、スナップチャットは利用者どうしの交流が非常に活発で、大手と対照的だ。米国のあるアナリストは、スナップの現在は好調な株価が公募価格割れするような状態になれば、フェイスブックが買いに走るのではないかと気の早い観測を発表している。

 スナップチャットの公開は、フェイスブックやインスタグラムを震撼(しんかん)させているのだ。

[日経MJ2017年3月20日付]


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