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軍民両用研究は透明性重視で

2017/3/7 2:30
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 日本学術会議の検討委員会は7日、科学者が軍事研究にどう向き合うべきかについて報告をまとめる。防衛省が大学の研究費を出す制度を拡大するなか、「軍事目的の研究はしない」という過去の声明を見直すか議論してきた。

 声明は科学者の戦争協力への反省を踏まえて1950年と67年に出した。これまでの報告案では防衛省予算受け入れの是非は技術、倫理の両面から大学が判断するよう提案している。4月の総会で最終決定するが、防衛省予算を一律に排除しないのは妥当だろう。

 インターネットや全地球測位システム(GPS)など軍事研究が民生用に転じた例は多い。逆に材料や光学の基礎研究が軍事に使われる場合もある。軍民両用(デュアルユース)研究の拡大は世界的な傾向で切り分けは難しい。

 多くの研究者は科学研究を真理の探究や人類の幸福、平和に生かしたいという純粋な気持ちをもっている。それが防衛省予算の利用に対する慎重論にもつながっている。しかし、軍事転用を恐れて自己規制しすぎては、健全な科学研究の発展を阻みかねない。

 どの省庁の研究予算かによって軍事、民生を色分けするのは現実的ではない。ある国立大学には、文部科学省予算で進めていた数学研究を知った米軍関係者が詳しい話を聞きに来たという。

 防衛省も既存の科学研究のなかから、安全保障に応用できそうなものを探す努力をもっとしてもよい。一方で、自ら資金を出す場合でも研究成果が学会や論文で発表されるのを拒んではならない。

 どこの予算であろうと、研究成果の公開と透明性の原則を保てるかどうか、大学も研究者も常に確認する必要がある。秘密裏に進める兵器開発に特化した技術もあるだろうが、大学で取り組むべきものではない。

 学術会議の議論は2月に開いた公開フォーラムを含め、デュアルユース研究に対する人々の意識を高めるのに役立った。こうした場は今後も設けてほしい。

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