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文系エンジニアと理系トップの価値
ブランドン・ヒル(米ビートラックスCEO)

2017/3/7付
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 シリコンバレーに来る日本の方からよく寄せられる質問にこうしたものがある。「自分は文系なのでエンジニアの仕事はできません。今後どのようなキャリアがあり得ますか」というものだ。

札幌市生まれ。サンフランシスコ州立大学デザイン学科在学中からウェブサイトのデザイナーとして活躍。卒業後の2004年にブランディング・ユーザーエクスペリエンスデザインを手掛けるビートラックスを設立。趣味はバイク、テニス、ロック音楽。

札幌市生まれ。サンフランシスコ州立大学デザイン学科在学中からウェブサイトのデザイナーとして活躍。卒業後の2004年にブランディング・ユーザーエクスペリエンスデザインを手掛けるビートラックスを設立。趣味はバイク、テニス、ロック音楽。

 どうやら「自分は文系だからエンジニアは目指せない」と最初からあきらめてしまっているのである。私はこのことに非常に大きな違和感を持つ。というのも、米国の職場では、「文系だから、理系だから」を基準にキャリアを考えることは少ないからだ。

 今の時代、エンジニアもプログラマーも、マーケティング担当者も経営者もクロスオーバーが進み、役職別にしっかりと分けることはかなり難しくなっている。

 シリコンバレーのスタートアップ(ベンチャー企業)では、1人でいくつもの役割を果たしているのが一般的である。エンジニアであっても高いコミュニケーション能力とプレゼンテーション能力が求められる。営業や企画の人間でも最先端のテクノロジーの知識や、簡単なプログラミングのスキルが要求される。すでに文系と理系の隔たりは消えている。

 これが一般的な日本企業の場合、文系、理系でそれぞれのキャリアパスがあり、そこを行き来することはほとんどないようだ。また、高校や大学でも一度系統を決めてしまうと専門的な内容のカリキュラムが組まれ、広い視野で考えることが難しくなってしまっているように思われる。

 人間の特性を文系と理系の2種類にわけること自体がナンセンスであり、実社会にまったくそぐわない分類であろう。にもかかわらず、「自分は文系だ」と思い込んでしまったが故に、興味のあるエンジニアとしての職をあきらめてしまうのは、あまりにももったいない話だ。教育の場で「文系」のレッテルを貼られた人は、まるで世の中に「理系」とされるエンジニアなどの職業には就くことができないという自己暗示にかかっているようだ。

 米国の大学でも文系の学位を「BA」、理系の学位を「BS]と呼び、一応の分類はある。だが、最近では理系の経営学位や文系の会計学位もあったりして、その隔たりはなくなっている。

 仕事の場でも文系出身のエンジニアや、理系出身の経営者も多く存在し、むしろそれがユニークな価値となる。物事を異なる視点から見ることで新しいイノベーションのきっかけにもなるからである。

 興味深いことに、最近では、理系的な観点からデザインを学ぶカリキュラムがある。数値やデータをもとにデザインを行うことでよりビジネスに直結した結果を生み出せるという考え方に基づいている。これまで考えられていた職種と学位とのつながりはこれから変化していくと予想される。それにあわせて文系と理系の隔たりもなくなっていくだろう。

 これからビジネスで求められるのは、今までにはない新たな発想でアイデアやものづくりを行えるクリエイティブな能力だ。そこでは文系や理系で制限すること自体がまったく意味をなさなくなると思う。

 これを打破するには、教育機関による新たなカリキュラムの編成と、企業による従業員のキャリアパスの設計が必要だ。そして何より個々の学生や教育機関のスタッフの意識の変化が求められる。

[日経産業新聞2017年3月7日付]

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