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現実空間にCG投射 「ホロレンズ」に技術者熱狂
山田 剛良(日経テクノロジーオンライン副編集長)

2017/3/6付
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 今年1月から国内の開発者などに向けた出荷が始まり、先端技術に敏感な技術者を熱狂させつつある新しいIT(情報技術)デバイスがある。

3DCGの仮想の物体を皆で共有できる(中村氏提供)
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3DCGの仮想の物体を皆で共有できる(中村氏提供)

 米マイクロソフトのゴーグル型端末「ホロレンズ」。頭にかぶると、目の前の現実空間にCG映像を重ねて表示する。いわゆる拡張現実(AR)を実現する端末だ。まずは業務向けで広がりそうだが、将来は我々の生活を大きく変えてしまうポテンシャルがある。

 「行きますよ、せーの、ウイ・アー・ホロレンジャー」。全員が笑顔で一斉に手を上げた瞬間にシャッターが落ちる。2月2日、東京・渋谷のイベントスペースで、60人以上の開発者を集めたホロレンズのイベントが開かれた。

 参加者が持参したホロレンズは実に80台。「これほどの台数が一堂に集まったのは世界でも珍しいはず」と、イベントを仕掛けたホロラボ(東京・品川)の中村薫・最高経営責任者(CEO)は胸を張る。

 マイクロソフトが米国や欧州に続き、ホロレンズの出荷を日本まで広げたのは1月中旬。しかも価格は開発者向け割り引きでも1台33万3800円。そんな高価な端末と開発者が、出荷開始から2週間でこれだけ集まるのは確かにすごい。

 マイクロソフトによると国内向けの予約は欧州5カ国の3倍のペース。中村氏らは同様のイベントを福岡、大阪、仙台でも立て続けに開き、合計で240人弱を集めた。国内の開発者に熱狂を生み出しつつある。

 どこが違うのか。中村氏によると「一番の違いは空間把握の精度の高さ」という。ホロレンズは内蔵した半透過スクリーンで、現実の空間にCGの物体を重ね合わせて映し出す。その際に現実の空間の状態を解析・把握し、その位置を正確に覚える能力がずぬけているという。

 例えば、ホロレンズをかぶってCGの茶わんをテーブルに置くと、茶わんはいつまでもその場所に留まる。席を外して戻るとまだそこにある。当たり前のようだが「こんなことができた従来品はない」(中村氏)。従来は空間把握の機能がなかったり、精度が甘く見ている間に勝手に動いたりしてしまっていた。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から現職。京都府出身、50歳

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から現職。京都府出身、50歳

 カメラで捉えた映像から壁や天井、家具などの位置や大きさを把握し、3次元の情報として再構成する。そのためにカメラセンサーが4個搭載され、マイクロソフトが専用に開発した半導体チップが組み込まれる。

 「言われないと多くの人が気付かないが、3DCGを本当に立体で見られる点も画期的」と中村氏は話す。ホロレンズは両目に画像を投影するから、現実の視界の中に立体感のあるCG画像を表示できる。しかもバッテリーや通信機能を内蔵し、普通に生活するように歩き回りながら使える。

 例えば、クルマのCGを原寸大で表示し、自分の方がその周りを回って、サイズ感や細部を感じ取れる。従来の3DCGで立体感があるのはあくまでスクリーンの中。向きを変えるにはマウスで動かしたりする必要があり、大きさなどの把握も難しい。

 こうした特長を生かすと何ができるか。例えば離れた場所にいても、ホロレンズを通信でつなげば同じ3DCG画像を囲んで打ち合わせできる。製品開発などでは試作品の模型を作って設計を検討することがよくある。関係者が一堂に集う必要がなくなる。

 「だからホロレンズは3台ずつ買え、とみんなに勧めている」と中村氏。今回のイベントも、開発者にホロレンズが複数台集まった時の威力を体験させる狙いがあった。「利用者がたくさん増えれば、新しい用途がどんどん生まれてくる」と中村氏は確信している。

[日経MJ2017年3月6日付]

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