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政策の具体像が見えないトランプ演説

2017/3/2 2:30
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 また同じ演説を聞いた。そんな印象を拭えない。トランプ米大統領は初の議会演説で、大規模なインフラ投資、法人税減税、オバマケア(医療保険制度改革)撤廃などに取り組むと力説したが、どう進めるのかの道筋は相変わらずはっきりしなかった。いつまで中ぶらりん状態を続けるのだろうか。

 演説は、トランプ氏自らフォードなどの大企業と直談判し、メキシコへの工場移転を防いだという自慢話から始まった。初の記者会見、大統領就任式の演説でも言及した定番ネタである。米国民の雇用を守る姿勢を明確にしたいのだろうが、食傷気味である。

 就任40日で、具体的に数字が入ったのは、(1)インフラ投資の規模が1兆ドル(約113兆円)(2)国防費の増額は540億ドル(約6兆1000億円)――ぐらいだ。

 法人税率の引き下げを巡り、先週のインタビューで「15~20%の間にする」と表明していた。演説では「経済チームが歴史的な税制改革をまとめている」と述べるにとどまった。中間層への所得税減税の規模は「巨額」という何とも漠然とした説明だった。

 米国のいまの税制に課題が多いのは事実だが、改革の方向性が具体的に見えてこないと、論評のしようがない。米メディアは「ぼんやりした演説」と報道した。

 トランプ政権はいまだ陣容が固まっていない。議会が未承認の閣僚がいるし、副長官以下のポストの大半は指名にも至っていない。与党の共和党の主流派と折り合いが必ずしもよくないため、人材探しに苦労しているようだ。

 トランプ氏の取り巻きは、選挙向きのスローガンを考えるのは得意でも、政策通とは言い難い面々だ。「メキシコとの国境に壁をつくる」「不法移民を追い出せば治安はよくなる」と訴えれば支持者受けする、と助言しているのだろうが、その先が続かない。

 例年は2月中に議会に送付する予算教書はまだできていない。イスラム圏7カ国からの入国禁止措置は連邦高裁に差し止められたあと、たなざらしのままだ。

 安全保障では同盟国に財政負担を求めると強調した。対象は「北大西洋条約機構(NATO)、中東、太平洋のパートナー」だ。

 ここに日本は含まれるのか。安倍晋三首相は在日米軍の駐留経費負担について「終わった問題」と述べたが、トランプ氏は本当に理解したのか。再び不安になる。

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