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動き出す偽ニュース対策 自動判別で「初期消火」
藤村 厚夫(スマートニュース執行役員)

2017/2/20付
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 昨年の米大統領選をめぐっては、「偽(デマ)ニュース」のまん延が、超大国の指導者選びに影響を及ぼしかねない事態として耳目を集めた。

 つい最近も、ドイツのメルケル首相が「メルケル氏、難民を装ったテロの犯人と並んで自撮り」とする偽ニュース記事のえじきになったばかりだ。この偽ニュース記事でテロリストだと大規模に拡散されたシリア難民男性は、拡散を止めなかった点を争い、交流サイト(SNS)のフェイスブックを訴えた。

 今年はヨーロッパ各国で選挙を控えており、いずれの政権も中東からの難民受け入れや経済対策をめぐる不満のはけ口としての偽ニュースに危機感を募らせる。

 国内では昨年暮れ、医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」に代表される低品質メディアが社会問題化したことも記憶に新しい。また最近では、韓国で日本人女児が性的暴行を受け、その犯人に無罪判決が出たとする偽ニュースが出回った。これはヘイトを煽り、アクセスを稼ぐのが目的だったという。

 では、台頭する偽ニュースや低品質なメディアの乱造にどう対処できるだろうか。米大統領選で明らかになったのは、偽ニュース記事は燎原(りょうげん)の火のように拡散するのに対し、その誤りを指摘する記事はさほど広がらないことだ。

 そのため有効な対策は、早期に偽ニュース(あるいは懸念のある記事や口コミ)を識別して、その拡散を抑止することがあげられる。火が燃え広がる前の初期消火が重要ということだ。

 偽ニュースの大規模な拡散に用いられてきたと批判の矢面に立たされるフェイスブックは、「偽ニュースでは?」と利用者が感じた記事を、利用者の振る舞いからリアルタイムに判別し、以後、その記事に警告情報をあわせて表示するようにした。前述した国内で起きたヘイト記事でも、フェイスブックが拡散を抑止する対策を行っている。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身、60歳。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身、60歳。

 低品質な記事が、検索エンジンで高く評価されることも防がなければならない。検索結果の上位に位置すれば多くの利用者の目に止まり、結果として広く拡散されてしまうことになるからだ。

 ウェルクなどいくつもの情報サイトを運営していたディー・エヌ・エー(DeNA)では、検索エンジンのアルゴリズムのクセを巧妙についていた。従来、検索エンジンが「高品質な記事」の判定に重視していた外形的な特徴を模倣するなどしていたのだ。

 そこでグーグルは、2月に入って国内向けに検索エンジンのアルゴリズムを変更した。詳細は明らかにされていないが、ウェルクなどと同様の手法で検索結果の上位に位置していたメディアの評価を落とすのが目的と見られる。

 現代のデマは、テクノロジーを巧みに利用することで爆発的に広がるのが特徴だ。テクノロジーを活用するサービス事業者が、積極的な対策に取り組む必要がある。

 メディア側にも、低品質なコピー記事と一線を画して、高品質の記事を集約したメディアを打ち出そうとする動きが見られる。講談社は、著作権などをクリアした記事を組み合わせて、ユーザーごとの好みにも応じて表示をするメディアを立ち上げるという。業界全体がようやく動き始めたといえる。

[日経MJ2017年2月20日付]

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