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二兎を追う授業改革は可能か

2017/2/15 2:30
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 学習の量は維持しつつ、授業の質を高める――。文部科学省がきのう公表した小中学校の新しい学習指導要領案は、まさに「二兎(にと)を追う」内容である。中央教育審議会でのこれまでの議論に沿った改訂案だが、学校現場がこれを十分に消化できるのか、疑問が拭えない。

 改訂案は、従来のように教員が「何を教えるか」だけでなく、子どもたちが「どう学ぶか」に視野を広げた。「主体的・対話的で深い学び」の実現を掲げ、そのための授業の改善や学習の過程重視を打ち出している。

 単なる知識の習得よりも、自分の頭でものを考える力を育てることに重きを置いた指針といえよう。体験活動や討論型の授業の充実を期待しており、こうした方向性自体は妥当である。

 とはいえ、定められた学習の量は現行指導要領と同じだから、現場の不安は大きい。意欲的な教員が授業を深掘りすればするほど、知識伝授とのバランスに苦慮することになろう。文科省は「質と量の両立を図る」とひとくちに言うが、容易な話ではない。教員の処遇改善策も立ち遅れている。

 各地の実践例を豊富に示すことで、教員が多様な試みを共有できるようにすると文科省は言う。学校や地域がこれを参考に新たな取り組みを実現できればいいが、マニュアル化して「深い学び」の画一化を招く心配も大きい。

 こんどの改訂案の理念がきちんと具体化するなら、学校教育の姿が変わる可能性がある。いたずらに二兎を追うのでなく、指導要領の運用を弾力化し、現場に「量」よりも「質」を優先する裁量を与えられないものだろうか。文科省はそこには踏み込まず、現場をなだめるのに躍起なようだ。

 背景には、かつての「ゆとり教育」批判のような混乱を避けたいという思いもあろう。「ゆとり」と詰め込みの二項対立を繰り返すべきではないが、摩擦を恐れるあまり、せっかくの「深い学び」をなおざりにしてはなるまい。

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