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移民の野心と破壊的思考 シリコンバレーの原動力
ジョアナ・ドレイク・アール(コア・ベンチャーズ・グループ ジェネラルパートナー)

2017/2/14付
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 知的で大胆ではあるが、持っているのは野心だけ――。こうした起業家にとって、シリコンバレーは20世紀半ばからやさしい町であり続けた。米国の伝統的な産業界で成功するには、裕福な一族、業界でのつながり、そして何年もかけて企業の中で出世していくことが必要だった。ところが、シリコンバレーでは、資金やコネがなくても、起業に適した環境への入り口を見つけられる。何もないところから数十億ドル規模の巨大企業を築き上げられる。こうした市場機会こそが、シリコンバレーと起業家、なかでも移民としてやってきた起業家たちの間に存在する相互利益関係の基礎にあるものだ。

Current TVなどのメディア関連企業のエグゼクティブやDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナーに就く。スタンフォード大学修士、カリフォルニア大学バークレー校卒。

Current TVなどのメディア関連企業のエグゼクティブやDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナーに就く。スタンフォード大学修士、カリフォルニア大学バークレー校卒。

 そうしたシリコンバレーを象徴する起業家として頭に浮かぶのは、インテルのアンディ・グローブ氏(ハンガリー出身)、サン・マイクロシステムズのビノド・コスラ氏(インド出身)、グーグルのセルゲイ・ブリン氏(旧ソ連出身)、イーベイのピエール・オミダイア氏(フランス出身)、ヤフーのジェリー・ヤン氏(台湾出身)などだろうか。

 彼らはいずれもシリコンバレーの実力社会が力を与えた才能ある「よそ者」の挑発者たちである。彼らはその能力を十二分に発揮して、それぞれの業界で革新を起こした。

 よそ者によるサクセスストーリーはシリコンバレーの伝説にとどまっていない。移民による起業とその成功はより顕著になっている。最近の成功事例をとってみても、オンライン決済や電気自動車、宇宙旅行事業のパイオニアとして知られるテスラのイーロン・マスク氏(南アフリカ出身)、ハフィントンポストの共同創立者アリアナ・ハフィントン氏(ギリシャ出身)、ユーチューブの共同創立者スティーブ・チェン氏(台湾出身)、ワッツアップの共同創立者ジャン・コウム氏(ウクライナ出身)、インスタグラムの共同創立者マイク・クリーガー氏(ブラジル出身)、ハウズの共同創立者アディ・タタルコ氏(イスラエル出身)など、数え上げればきりがない。

スペースXやテスラを率いるイーロン・マスク氏は南アフリカ出身
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スペースXやテスラを率いるイーロン・マスク氏は南アフリカ出身

 私のビジネスパートナーの赤嶺新哉氏も、日本からシリコンバレーにやってきて電子メールセキュリティーサービスのポスティーニ(後にグーグルが買収)を創業した。私はそのことを誇りに思っている。

 データを見れば一目瞭然だ。2016年に10億ドル以上の価値をつけられた「ユニコーンクラス」と呼ばれる非上場のスタートアップ(ベンチャー企業)のうち、過半数が移民によって創立された。創立者だけではない。70%以上のユニコーンクラスは、主要な役員や製品開発の指導陣に移民が名を連ねている。この傾向は上昇するばかりだ。全米ベンチャーキャピタル協会によると、06年には株式公開したスタートアップの25%が移民による創立だったが、13年にはその数字が33%に増加している。

 移民がここまで重要な役割を担っていることは驚くべきことではない。経験や視点の多様性が、起業家の抱える古い問題に新たな解決法を与えることができるからだ。破壊的思考と何か大きなことをしたいというハングリー精神。それらが起業家を不可能への挑戦に駆り立てる。それがスタートアップの社員のやる気を引き出し、革新的なアイデアの実現へと導く。

 多様性の重要性はこれまでの経験から明らかだ。異なる経験や世界観を持つ移民の才能と偉大な産業とのパートナーシップがもたらしてきたシリコンバレーの原動力が現政権により脅威にさらされている。

[日経産業新聞2017年2月14日付]

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