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都知事も注目「環境債」 脱炭素に弾みつくか
三井物産戦略研究所シニア研究フェロー 本郷尚

2017/2/9付
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 資金用途を環境分野に限定したグリーンボンド(環境債)が日本でも注目されている。小池百合子東京都知事も発行計画を発表しており、業界団体によれば2016年には前年の460億ドルから倍近い810億ドルに急増する。また17年は1300億ドル以上になると予測している。来年度に新たに発行予定の国債が34兆円(約3000億ドル)だから、相当な規模だ。

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 気候変動対策に貢献すると判断したグリーンボンドの発行残高は67%が鉄道など輸送関連。ついで再生可能エネルギー中心のエネルギー関連などが18%となる。AAAあるいはAAなど高い格付けの優良銘柄が半分を占めるが、政府や自治体、国際機関から企業や銀行などに広がっている。

 通貨別では、中国人民元建てが35%で、ドル建て(23%)やユーロ建て(16%)を上回るなど多様化も進む。

 次は成果の充実だ。

 環境や社会などに配慮した投資先を選ぶ「ESG投資」でも共通しているが、何が「グリーン」か国際的な基準があるわけではない。このため再生エネ、省エネ、生物多様性、クリーンな交通などの対象事業を決めた「グリーンボンド原則」など指針が整備されつつあるが、客観的に評価する基準が示されておらず依然曖昧さが残る。

 だから、中国でのグリーンボンド急増は「従来の起債が名前を変えただけではないか」との厳しい見方もある。また、二酸化炭素(CO2)削減の「一丁目一番地」である省エネを対象としたものも少ない。

 また、金利など発行条件は従来と顕著な差がないため、果たしてどれだけ削減投資を後押ししたのか疑問も残る。グリーン投資が「偽グリーン」などと言われないように、貢献が認められて初めて、安心して投資できるようになる。

 例えば、銅やアルミ、穀物などの商品取引市場では数値基準を設けることで品質を保っている。気候変動対策をうたうのであれば、CO2が減らした量が貢献の判断材料の一つになるだろう。

 設備、製品、サービスごとにエネルギー消費やCO2排出に数値基準があれば評価に迷うことはない。

 ブッシュ政権時代に米国が主導し、日本や中国、インドなども参加した「アジア太平洋パートナーシップ」では、分野ごとにエネルギー消費量の測り方を決め、消費量のデータを集め、その後も着実にデータを蓄積している。環境省のCO2削減補助金では削減量当たりのコストを成果評価に取り入れた。また、経済産業省は日本の公的融資や企業活動による海外での削減成果を「見える化」し、日本の貢献としてプレーアップすることを検討している。

 蓄積は相当なものだ。数値基準で効果が「見える化」された技術と資金を結び付ける仕組みは、ゲームチェンジャー(試合の流れを変えるスター選手)として、民間資金による改革につながる。排出量の定量化手法や排出基準の整備やそれに基づく定量化作業の最初の一歩を政府が支援してはどうだろうか。国際金融都市を目指す東京の売りにもなるだろう。

 グリーンボンドを取り扱う金融機関によれば、同じ金融条件ならグリーンボンドが良い、と人気は高く、すぐに売り切れると言う。この人気を低炭素社会の実現に活用しないのはもったいない。

[日経産業新聞2017年2月9日付]


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