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「共謀罪」は十分な説明なしには進まない

2017/2/6 2:30
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 テロや組織的な犯罪を、実行する前の計画段階で処罰する「テロ等準備罪」の新設を目指し、政府が組織犯罪処罰法の改正を検討している。いまの国会に法案を提出し、成立を図る構えだ。

 この法案は国際組織犯罪防止条約を締結するための前提として、各国に整備が義務付けられた法律という位置づけだ。

 これまでは「共謀罪」法案として3度国会に出されたが、「処罰対象が不明確で、恣意的に運用されかねない」といった批判が強く、いずれも廃案となった。

 こうした経緯を踏まえた結果であろうが、法案提出の前から始まっている国会の論戦では理解に苦しむ場面が多い。

 2020年の東京五輪対策やテロ防止を過度に強調したり、条約上絞り込めないと明言していた600超の対象犯罪を半数程度に削る姿勢を見せたり、政府側の対応はあいまいで二転三転している。

 イメージの悪さを払拭する必要からか、「共謀罪とはまったく違う」「発想を変えた新たな法律だ」との説明も聞かれた。だが共謀罪とまったく違うなら肝心の条約が締結できなくなってしまう。こうなると一体何を目指しているのかさえよく分からない。

 犯罪の共謀を罰する規定は、現行制度でもすでに爆発物取締罰則や国家公務員法などに13あるという。問題は共謀罪を新たに設けるということより、条約に便乗するような形で幅広く網をかけようとしてきた政府側の姿勢であることを指摘しておきたい。

 各国が一致して組織犯罪を封じ込めていくという条約の意義は大きい。これに加わらないと、外国との容疑者引き渡しが滞るなど不利益があることも理解できる。

 ただ条約の重点は本来、資金洗浄や人身取引などの組織犯罪に置かれている。もちろんテロも組織犯罪の一つで、同じような対策が有効だが、「テロのため」だけを強調すると本質からずれてしまわないだろうか。

 そもそも国民の権利の侵害につながる懸念を持つ法案である。「本当に条約を締結するために不可欠なのか」「どの程度、処罰対象を限定することが可能か」といった疑問点も多い。

 まさかカジノ法のときのような、駆け込み的成立を狙っているわけではなかろう。ここはまずは腰を据えて、分かりやすく説明していく必要がある。

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