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経済の混乱招く米大統領の為替「口先介入」

2017/2/2 2:30
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 トランプ米大統領が中国と並んで日本を名指しし、「何年も通貨安誘導を繰り広げている」と批判した。

 日本は過去5年間、為替市場への介入をしておらず、明らかな事実誤認である。米大統領が為替問題に安易に言及すれば、金融市場や経済の混乱を招く。「口先介入」は厳に慎むべきだ。

 大統領発言の真意は不明だが、昨年秋以降、為替市場でドル高傾向が強まっていることに不快感を示したものとみていいだろう。

 だが、まず理解すべきなのは、米国経済の改善がドル高の主因という点だ。強い経済は米連邦準備理事会(FRB)による利上げにつながっている。この結果、投資先としての米国の魅力が高まり、ドル需要が強まっている。

 減税やインフラ投資など、新政権の財政刺激策が実現すればこうした動きは加速する。米利上げを一段と促す要因にもなるからだ。

 発言は日本の金融緩和政策を標的にしたものとも受け止められている。米国が利上げする一方で、日銀が緩和政策を継続していることが結果的に円安につながっているのは確かだ。だが、日銀の金融政策は米欧の中央銀行と同様、自国の経済や物価を安定させることを目的に運営されている。批判は筋違いである。

 強い権限を持つ米国の大統領が為替市場や金融政策について、気ままに発言すれば、金融市場の先行き不透明感が高まるのは必至だ。為替相場が政治家の言動に左右されるようになれば、企業の投資活動にも悪影響が及ぶ。為替問題に関する発言は、財務長官などマクロ経済政策の責任者に委ねるべきである。

 為替政策を巡る今回の発言は、高関税など保護主義的措置の実施を辞さない姿勢とつながる。根っこにあるのは、日中などの対米黒字国が米国の雇用を奪っているとの誤った認識だ。2国間の収支を強引に均衡させようとしても、雇用などの改善にはつながらない。むしろ輸入品価格上昇などを通じて家計の負担拡大になるだけだ。

 大統領は来週の安倍晋三首相との会談で、不均衡是正へ向けた日米2国間の貿易交渉を提案する可能性がある。重要なのは貿易の収支尻合わせではなく、両国間の貿易や投資を拡大することだ。日米関係の強化は大切だが、会談ではまずこうした原則について米国側の理解を促すことが肝要だ。

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