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日本の技術は遅れている 欧米VBが抱く誤解
ジョアナ・ドレイク・アール(コア・ベンチャーズ・グループ ジェネラルパートナー)

2017/1/31付
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 前回は、シリコンバレーの日本人によくみられる誤解を紹介した。今回は欧米のスタートアップ(ベンチャー企業)が日本企業とビジネスをするときに誤解しがちな5つの点についてお伝えしたい。

Current TVなどのメディア関連企業のエグゼクティブやDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナーに就く。スタンフォード大学修士、カリフォルニア大学バークレー校卒。

Current TVなどのメディア関連企業のエグゼクティブやDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナーに就く。スタンフォード大学修士、カリフォルニア大学バークレー校卒。

 まず、日本の経営者たちは過剰なほど礼儀正しく振る舞いがちだ。うなずきながら「それは興味深いですね」などと話すため、肯定的なスタンスだと解釈されてしまう。日本企業の意思決定プロセスには、事業部門からの批判的な提言や、決算の時期、そして経営陣が内心で契約をどのように換算しているかなど、無数の影響力や要素が作用している。そのことを見過ごしている起業家たちは多い。

 我々は起業家たちに日本企業の意思決定プロセスの特徴を踏まえた助言をしている。「前回のミーティングはどうでしたか」と尋ねる代わりに「その日本企業は3月31日までに契約書に署名できると言っていましたか」「その顧客は1億円以上の契約を結ぶうえで取締役会の承認が必要ですか」と質問している。

 日本のパートナーと素晴らしい関係を築いている欧米の起業家たちは、日本でどのようにビジネスが行われているかを学ぶために時間を割いている。契約プロセスを適切に見込むことが可能になり、欧米のステークホルダーたちに現実的な期待を持たせられるからだ。

 2つめの誤解が日本企業と関係を築くのは困難で時間がかかるということだ。日本企業を相手にした契約は、米国企業を相手とした場合よりも時間がかかる。会議にも多額の出費が必要となる。しかし、いくつかのシグナルを学び、ナビゲーションしてくれる頼もしいパートナーさえいれば、日本企業との契約は比較的見通しがつきやすい。しかも長期的に見れば、日本の企業はとても貴重なパートナーになることが多い。日本企業は相手に対して忠実で、品質に心血を注いでおり、価格に公正であろうとするうえ、照会先としても有力だからである。

 3つめの誤解が日本より先に欧州または米国に進出すべきだという説だ。法人を顧客とする企業やテクノロジー分野の企業にとって、日本市場は魅力的だ。日本には有力企業が密集し、国内総生産(GDP)は世界第3位だ。技術水準は高く、統制のとれたビジネス文化もあり、データに基づいた意思決定ができる。言語や文化の障壁があるのは確かだが、賢い欧米の経営者たちは、信頼できる日本のパートナーの助けを借りてシステマチックに克服している。

 日本企業のテクノロジーは遅れているという誤解もある。シリコンバレーの起業家たちの多くは、最先端のテクノロジーの大半が欧米から生まれていると考えている。だが、彼らは、デジタルメディアやコマース、ヘルスケアといった分野で日本企業が先端を走り続けているという事実に目を向けていない。これはシリコンバレーへの関心が高すぎるため、日本を含む他の地域で起きている技術に関するニュースがあまり報道されていないことに原因がある。

 日本のパートナーがスタートアップにできることはあまりないという誤解もある。日本企業はデータを収集・分析し、それに基づいた経営をしている。スタートアップにとって、日本企業が持つ情報やノウハウは、多大な利益をもたらしてくれるだろう。日本企業をパイプ役として世界中に事業領域を広げることも可能だ。日本企業をパートナーとして活用できる機会は、かけがえのない価値となりえるのだ。

[日経産業新聞2017年1月31日付]


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