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日米自動車摩擦の再燃を回避したい

2017/1/30 2:30
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 トランプ政権の発足で以前の自動車摩擦の再燃を思わせる、きな臭い空気が日米間に漂い始めた。

 トランプ大統領が「(日本は)米国車を売れないようにしている」と日本市場の閉鎖性を批判したのに続き、米フォード・モーターの首脳はホワイトハウスでの大統領との会談後に「貿易を妨げるのは為替操作だ」と発言した。

 今の為替水準では外国車と公正な競争ができないとして、米政府にドル高の是正を訴えたのだ。

 こうした言い分は果たして妥当なのか検証してみよう。

 まずトランプ大統領がかねて執着する米国内の生産について。みずほ銀行の調べによると、1999年から2015年にかけて日本車の米国現地生産は年150万台増加した。これに連動して雇用も増え、現時点で日本メーカーの直接雇用は9万人弱に達し、関連部品会社や販売店を含めた雇用創出は150万人に及ぶという。

 同じ期間に米国系3社は経営破綻に伴う大規模リストラを実施した企業もあり、米国内生産を360万台減らした。その穴を日本のほかドイツや韓国企業の現地生産が埋め、米自動車生産は年1千万台強の水準を何とか保っているのが実態だ。外国企業が米国内生産を下支えしている現状をトランプ政権は正しく認識してほしい。

 日本市場の閉鎖性についてはドイツ車の成功が反証になる。メルセデス・ベンツの販売台数はトヨタの高級車「レクサス」を上回り、BMWなどの人気も高い。米国車が日本に浸透しなかったのは事実だが、それは車の魅力や投資の不足に起因するのではないか。

 ちなみに日本市場の輸入車シェアは近年右肩上がりで、軽を除く登録車の10%近くに達した。

 為替についてはどの水準が適切か、にわかに断定はできないが、長期的にみれば企業の競争力と為替レートはほとんど関係がないのではないか。85年のプラザ合意以降を考えると、円は対ドルで大幅に上昇したが、この間、日本車は米国で躍進した。

 為替による目先の利益の増減にこだわるより、製品開発力など、より根源的な競争力に磨きをかけるのがメーカーの基本だ。

 日本の官民はこうした認識を米新政権にぶつけるとともに、米国社会に根づくための現地化の努力を加速し、米国の消費者の負担増にもつながりかねない不毛な摩擦を回避してほしい。

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