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「VUCA」時代、リーダーに重要な4つの言葉
グロービス経営大学院学長 堀義人氏(48)

2017/1/6付
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 2016年は激動に見舞われた1年だった。英国の欧州連合(EU)からの離脱(Brexit)決定があり、米国では共和党のドナルド・トランプ氏が大統領選に勝利した。イタリアでは上院の権限を大幅縮小する憲法改正案が国民投票で否決され、レンツィ首相が辞任した。17年はフランスの大統領選とドイツの議会選、アジアでは韓国大統領選が控えている。波乱含みの展開になりそうだ。

 今の時代は「VUCA」の時代と称される。「Volatility(激動)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字をつなげた言葉だ。

 特に海外の政治では数々の激動(V)が起こり、不確実性(U)が高まっている。代表的なのがトランプ現象とサンダース現象だ。トランプ氏は反移民や反グローバル化、つまり他国や他人が自分たちを搾取していると主張した。大統領選の民主党候補者の指名争いで健闘したバーニー・サンダース氏は、金持ちと貧乏人の格差是正を叫んだ。Brexitでは両方の主張が合わさっていた。

 社会が分断されるなかで極右と極左が支持を集め、資本主義やグローバリズム、自由主義という基本的な価値観が締め出されようとしている。テクノロジーが進化してソーシャルメディアがマスメディアをしのぐ力を持ち始めたことも、先鋭的な主張が瞬時に数百万という人々に伝播(でんぱ)することを可能にした。

 さらに、人工知能(AI)やロボットに関する技術の指数関数的な進化により、社会やビジネスの複雑性(C)がこれまで以上に増している。その結果、僕ら経済人にとって不透明性(A)が高い、まさに視界不良の時代に突入しているのだ。

 その「VUCAな時代」に、リーダーはどう対応すべきであろうか。そこで、17年の年頭にあたり、VUCAの時代に必要となる知恵を、4つのキーワードを使って説明したい。

 1つ目は「Vision」だ。不透明性が高い時代には、自らが立つべき座標軸を確認し、どこへ向かうべきかの方向感覚を持つことが必要となる。視界不良な時代にこそ、未来の青写真を描くことが重要だ。

 2つ目は「Education」だ。不確実性が高い時代には、「世界で何を起こっているか」を把握するために、自らを教育し続けることが肝要だ。日々アンテナを張って様々なニュースに触れ、データを自分なりに解釈し、知恵を持った人と議論を重ね、新しいテクノロジーや経営手法を学ぶ。常に自らを向上させないと、時代から取り残されていくのだ。

堀義人(ほり・よしと)1986年京大工卒、住友商事入社。米ハーバード大経営大学院で経営学修士号(MBA)取得後、92年にグロービス設立。「ヒト・カネ・チエの生態系を作り社会の創造と変革を行う」ことを目標に、経営大学院の経営、ベンチャーキャピタルの運営、経営ノウハウの出版・発信を手掛ける。茨城県出身。54歳。

堀義人(ほり・よしと)1986年京大工卒、住友商事入社。米ハーバード大経営大学院で経営学修士号(MBA)取得後、92年にグロービス設立。「ヒト・カネ・チエの生態系を作り社会の創造と変革を行う」ことを目標に、経営大学院の経営、ベンチャーキャピタルの運営、経営ノウハウの出版・発信を手掛ける。茨城県出身。54歳。

 3つ目が「Dialogue」だ。激動をもたらした社会の断絶は、対話が不足していたことが大きな要因である。意識的に自分と対極にある様々な職業や地域の人と対話を重ねることがますます重要になるだろう。対話を欠くと、断絶を生み、社会が不安定になり、激動が生じる。

 最後4つ目が「Action」だ。複雑性が増している状況ではついつい立ちすくみがちになる。だが、動かないと何ら問題解決ができないどころか、さらに状況が悪化していくばかりとなる。動くことで、複雑なものをひもとくヒントを得て、構造化することでき、解決策を見いだせて、苦境を打破する端緒を開ける。確実な行動が重要だ。

 僕は、4つの頭文字をとって「VEDA」と名付けることとした。VEDAはサンスクリット語で「知識・知恵」を意味するからピッタリだ。VEDAは、先の見えないVUCAの時代に、おのおのが進むべき道を照らす灯火(ともしび)となるだろう。

 2017年は、ビジョンを描き(V)、自らを教育し(E)、対話を重ね(D)、行動(A)を起こす年としたい。

[日経産業新聞2017年1月6日付]

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