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「金」へあと一歩の悔しさ スノーボード・竹内智香(上)

2016/12/26付
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 スノーボードの日本女子勢として史上初の表彰台。2014年ソチ五輪パラレル大回転での銀メダルは歴史的な快挙には違いなかった。ただ、竹内智香にとっては、画竜点睛(がりょうてんせい)を欠いた4度目の五輪は、またも悔しさが募るものだった。

ソチ五輪では一瞬「勝った」と思ったが、少しスピードを緩めた隙に追いつかれ、「もう手遅れ」だった

ソチ五輪では一瞬「勝った」と思ったが、少しスピードを緩めた隙に追いつかれ、「もう手遅れ」だった

 決勝までは「すごい楽でした」。予選を1位のタイムで通過し、「竹内強し」のイメージを植え付けた。赤、青と異なる2本のコースを滑って1対1で合計タイムを競う決勝トーナメントでも「焦って相手が自滅していった」。準決勝も楽勝で決勝へ。だが、ここで魔物に襲われた。銀メダル以上が確定し、「気持ちが切れたというか、踊ったというか。会場(の関係者)からも、ぴんと張っているものが切れたのを感じた」。

 決勝1本目。荒れが少ない有利な赤コースでパトリツィア・クンマー(スイス)に対して、0.30秒のリードしか奪えなかった時点で見通しは明るくなかった。2本目はこの大会初めてリスクを負って「攻める」滑りに切り替える。中盤まで差を広げ、クンマーがターンする音が遠ざかる感覚があった。

 「勝った!」と思ったのもつかの間。ここで「油断した」のは緊張の糸が切れていたためか。少しスピードを緩めた隙に追いつかれ、「もう手遅れ」。終盤、旗門を回り切れず転倒した。

「大丈夫と思って手を抜く」悪癖が…

 12年までスイスチームに帯同していた竹内はともに汗を流したクンマーに、練習で勝ち続けてきたのだが。荒れた斜面への対応や、「もう大丈夫と思った瞬間に手を抜く」と自覚する悪い癖――。敗因はいくつかあるが、今は「積み重ねた文化」に屈したと思う。「パトリツィアは『金メダルを取ることがすべきこと』と思っていたはず。欧州ではそれが当たり前。日本の柔道界がそう思うように」

 この時30歳。金なら大団円を迎えていたし、22位、9位、13位だった過去3度に続き4度目も表彰台に届かなかったら諦めもついた。結果は頂にあと一つ。「あと4年頑張れるか半信半疑だった。でも転倒した時、『あと4年長いな』と思った時点で次を目指していたんでしょうね」と笑う。

 あれから3年。昨季はW杯でも表彰台がなかったが、意には介していない。長らく五輪の舞台に居続けて、「4年間ずっと勝ち続けるのは難しい」と感じてきたから。「相手がイチかバチかで滑ってくればやりにくい」。1対1でしのぎを削る競技特有の駆け引きを知るベテランは、周囲の心配をさらりと受け流す。

 爪をといだ2年間から一転、五輪プレシーズンを迎える今季からが「勝ち癖をつける」本当の戦いだ。歴史の壁を乗り越えるためにも、「金が当然」と思わせる絶対王者として臨むのが理想の形。「私は五輪に強いと思い込む。いい波をつかんでいきたい」。目前で逃した頂点に上るため、加速する準備はできている。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊12月26日掲載〕

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