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先進公立小、全コマの1割がプログラミング授業
山田 剛良(日経テクノロジーオンライン副編集長)

2016/12/26付
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 政府が2020年以降に小学校での必修化を決めるなどの追い風もあり、若年層向けのプログラミング教育が注目されている。だが専門性の高い領域だけに「誰が教えるか」などが議論になりがちだ。そんな中、ある公立小学校が先進的な取り組みを公開した。

ロボットを指示通りに動かすミッションに挑む1年生の授業(東京都小金井市)
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ロボットを指示通りに動かすミッションに挑む1年生の授業(東京都小金井市)

 「じゃあ次はいよいよ爆弾の起動方法を教えるよ。それは……」。担任の先生に3年生たちの真剣な目が注がれる。説明の途中ですぐ手を動かし始める子もいる。「やったー」。画面内でうまく爆発が起きて得意げな子供。「おかしいなぁ、あれー?」となる子もいる。でもどの子も楽しげでかつ真剣。あっという間に60分が過ぎる。とても学校の授業とは思えない。

 朝から快晴に恵まれた11月26日土曜日。小金井市立前原小学校が実施した学校公開には、父兄に加え、一般募集された合計約400人もの見学者が詰めかけていた。1年生から6年生までの全てのクラスで、プログラミング授業を実施するユニークな取り組みが公開されたからだ。

 同校は16年度より3年から6年生の10クラスを対象に、年間20時間(コマ)のプログラミング授業を実践する。原動力は16年4月に着任した松田孝校長だ。前任の学校でも児童全員に1台ずつiPadを配布するなど、若年層向けのIT(情報技術)教育では知られた存在だ。

 前原小学校でも着任してすぐ、半ば決まっていた「総合的な学習の時間」の予定を強引に変更。各学年の担任を説得し、プログラミング授業に差しかえて実践してきた。

 「松田流」がユニークなのは、プログラミングを素人の学級担任が教える点。高度なスキルが必要なため、専門の講師などが必要とよく言われるが、松田校長は逆だと話す。「小学校だからこそ、児童一人ひとりを知り尽くした担任が実施すべきだ」。プログラミングはあくまで教材であり、ITの本質を学ぶ方に主眼がある。

 26日の学校公開では特別のプログラムを用意。小学生向けのプログラミング教育でおなじみの「スクラッチ」などのビジュアルプログラミング言語だけでなく、絵本やロボット、作曲ソフトまで全10種類を教材として採用。学年ごと、クラスごとに異なる多彩な授業を実践して見せた。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から現職。京都府出身、50歳

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から現職。京都府出身、50歳

 例えば3、4年生の1クラスずつは子供たちに大人気のゲーム「マインクラフト」を使い、ゲーム内操作の自動化をプログラミングで試みた。二人で1台のパソコンの前に座り、話し合いながら進める顔つきはどの子も真剣そのもの。「算数や国語など普通の授業ではなかなか見られない表情」(松田校長)

 二人でパソコン1台とはずいぶんぜいたくに見えるが、実は1台5000円にも満たない格安の「ラズベリーパイ」を採用。モニターなども安価な製品でそろえた。

 1年生の授業では、試験販売が始まったばかりの自動運転ロボット「PETS」を教材にした。9個のブロックをはめ込んで動きをプログラミングする。指示通り動けば「ミッション」成功だ。

 松田校長は来年度、年間100時間のプログラミング授業を実施するとぶち上げる。総合的な学習の時間だけでは足りないため、国語や算数、音楽や図画工作などの通常の教科授業でもプログラミングの要素を取り入れる考えだ。「100時間は小学校の全授業の約10%。達成できれば、小学校の教育は確実に変わる」と意欲を見せる。

 旧態依然と批判されがちな小学校を変える。それがプログラミング授業の本当の役割なのかもしれない。

[日経MJ2016年12月26日付]

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