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クチコミで「モンスターヘッド」連発の2016年 (徳力基彦)

2016/12/23付
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 2016年もいよいよ終わりに近づいているが、今年のトレンドを考える上で注目したいのが「モンスターヘッド」だ。このキーワードは最近出版された柴那典氏の書籍「ヒットの崩壊」で紹介されている。

2016年は5億ダウンロードを超えた「ポケモンGO」のようなメガヒットが多かった
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2016年は5億ダウンロードを超えた「ポケモンGO」のようなメガヒットが多かった

 もともとインターネットの普及は、多種多様な商品やサービスが少しずつ売れる「ロングテール」と呼ばれる現象をもたらすと考えられていた。ロングテールとは販売数を縦軸に、様々な商品を横軸にしてグラフを描いたとき、長いしっぽ(ロングテール)のようにニッチ市場が広がる様子を例えている。

 しかし、実際には交流サイト(SNS)の普及を受けて話題のものにみんなが群がり、ヘッド(頭)の巨大化が進んでいる。その現象を表したのが「モンスターヘッド」という言葉だ。

 今年は日本において、まさに「モンスターヘッド」的なヒットが連発した年だった。

 7月に公開された映画「シン・ゴジラ」は息の長いヒットとなり、11月には興行収入80億円を突破した。さらに「君の名は。」は興行収入200億円を超え、邦画歴代2位を達成した。

 「ポケモンGO」は世界でのダウンロード数が5億件を超え、モバイルゲームの歴史上最も早く売り上げ1億ドルに到達するなどの5つのギネス世界記録に認定。先月本稿でご紹介した「PPAP」も、2016年の世界のユーチューブ動画ランキングで2位に入る快挙を成し遂げた。

 今年1年で歴史的な記録達成がここまで重なっているのはたまたまではなく、SNSの普及により話題が話題を呼び、一部のヒット商品に多くの人たちが群がる現象が加速しているからだろう。

 2016年はいわゆる「炎上」と呼ばれる騒動も多数発生した年だったが、ある意味そういうネガティブな話題も同様に「モンスターヘッド」化が進んでいると言える。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

とくりき・もとひこ 名大法卒。NTTを経て06年アジャイルメディア・ネットワーク設立に参画、09年社長。14年3月から取締役最高マーケティング責任者(CMO)。

 もちろん、こうしたモンスターヘッドになれるコンテンツは、それ自体が面白かったり革新的だったりと、大勢の人たちがクチコミをしてくれることが大前提だ。

 ただ、だからといって自分の会社では無理だと諦める必要もない。それぞれのヒットの仕方も実は大きく異なる。

 ポケモンGOは事前に海外でのブームがテレビでもおおいに取り上げられ、日本での公開初日からポケモンGOフィーバーとでも呼ぶべき状況になった。対してシン・ゴジラは公開初日はそれほど話題は盛り上がっていなかったのが、クチコミで話題の輪が広がる展開になった。

 「君の名は。」も、公開直後の週末よりも第2週の週末の方が入場者数が多かったことがクチコミの影響だと分析されているし、PPAPに至っては、海外で先行して話題になって日本でも注目されるようになった逆輸入型のクチコミの広がりを見せている。

 モンスターヘッドの生まれ方は必ずしも一つのパターンではない。ただ、クチコミの広がりが必須なのは確かだ。ポケモンGOやPPAPに至っては、事前に広告らしい広告は打たれていない。逆に言うと広告や宣伝による力業だけでは大ヒットは作りにくい時代になっているとも言えるのだ。

(アジャイルメディア・ネットワーク取締役)

[日経MJ2016年12月23日付]

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