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シリコンバレーがトランプ氏に懸念する3つのこと
フィル・キーズ(米インタートラストテクノロジーズ マネジャー)

2016/12/20付
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 米国の次期大統領のドナルド・トランプ氏と米国のIT(情報技術)分野の主要企業の代表が14日、ニューヨークで会談した。参加したのは米アップルのティム・クック氏やグーグルの親会社アルファベットのラリー・ペイジ氏ら。トランプ氏は友好的な態度で「あなた方を支援したい」とコメントしたそうだ。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

 シリコンバレーのIT系企業の経営者やそこで働いている人たちの多くは、トランプ氏に対してあまりよい感情を持っていない。シリコンバレーを構成する7つの郡では、トランプ氏の得票率は総じて低かった。最も高かった郡でも25%程度にとどまり、最も低かった郡では10%に満たなかった。

 IT系企業の多くは民主党のオバマ政権と親しかった。そのためか、共和党から立候補したトランプ氏は大統領選でIT系企業に厳しい態度をとっていた。アップルに対しては、テロ事件の犯人が持っていたアイフォーンの暗証番号の解読に協力しないのなら不買運動を起こすと述べたことがある。アマゾン・ドット・コムには、同社が独占禁止法に抵触している可能性があると指摘した。アマゾンの最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏は、トランプ氏に批判的な記事を多く掲載したワシントン・ポスト紙のオーナーである。そのこともトランプ氏のアマゾン批判の背景にあるのかもしれない。

 シリコンバレーにとって、トランプ政権誕生の明らかなメリットは1つしかない。それは防衛予算の拡大だ。だが、防衛産業は南カリフォルニアに集積しているので、シリコンバレーにはあまり恩恵は及ばないかもしれない。

 懸念材料はたくさんある。まず、交通インフラだ。シリコンバレーでは通勤時間帯以外でも交通渋滞がしばしば発生する。地元の地方自治体が電車や道路といった交通インフラを強化するために予算を投じることを決め、有権者も認めている。だが、自治体だけで必要な額をまかなうのは難しい。連邦政府の支援が必要だが、シリコンバレーに厳しい態度を取り続けてきたトランプ氏が協力してくれるかは微妙だ。

 次に人材だ。シリコンバレーの企業では、多くの外国人が働いている。トランプ氏の大統領就任後は、外国人が米国で就労ビザを取得するのはかなり難しくなる可能性が高い。トランプ氏は選挙期間中に移民や外国人の流入に制限を加えるべきだと主張していたからだ。

 シリコンバレーで働いている外国人には、トランプ政権に恐怖を感じている人がいる。そうした状況を反映し、中国のIT系企業がシリコンバレーにいる優秀な人材を中国に呼び寄せようとしているというニュースも流れている。

 貿易摩擦が発生する懸念もある。シリコンバレーの企業の多くは、売上高に占める海外の比率が総じて高い。中国や日本などにある企業がシリコンバレーに投資する動きも活発だ。ヒト・モノ・カネを海外とやり取りすることでシリコンバレーは発展してきた。

 だが、トランプ氏は選挙戦で米国の労働者を守るために外国に圧力をかけると発言した。米国に貿易黒字を計上している中国や日本を批判した。こうした言動を考えると、トランプ氏の大統領就任後に貿易摩擦が起きて、シリコンバレーの活力が低下することも考えられる。

 シリコンバレーのIT系企業の経営者はトランプ氏と反対の立場を明確にするか、自分たちの業界を守るためにプライドを捨てるかを決める必要がある。

[日経産業新聞2016年12月20日付]

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