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リオで集大成の銀 次は指導者で 柔道・広瀬誠
引退模様(4)

2016/12/16付
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 3度目となる引退表明は、今度こそ本当だ。東京パラリンピック出場への未練は全くない。

 「3人の娘たちとの時間を大切にしたい。視覚障害者柔道の発展に貢献する活動にも力を入れたい」。リオデジャネイロ大会の柔道男子60キロ級で3大会ぶりの銀メダルを獲得して幕を引いた選手生活に、「やり残したことはない」とすっきりした表情で語る。

「やり残したことはない」と語る。次は指導者で「最高の選手を育てたい」

「やり残したことはない」と語る。次は指導者で「最高の選手を育てたい」

 これまでは、心におき火が残ったままの引退宣言だった。2008年北京大会は金メダルを狙いながら準々決勝で負けた。「メダルもとれないのに国際大会に出るモチベーションが上がらなかった」。だが練習で投げると楽しいし、倒されると悔しい。減量の必要がない66キロ級で力を試したくなり、引退を撤回した。

 12年ロンドン大会では準決勝に負け、3位決定戦でも敗れ、再び引退を口にする。でもまた復帰。柔道をしていることを、ロンドン当時2歳の長女が覚えていなかったことがきっかけだ。「障害があっても日々楽しんで生きる姿を見せれば、人生って考え方でいかようにも楽しく生きられるとわかってもらえる」

 「やめるやめる詐欺」と仲間にからかわれながら臨んだリオでは、その家族に救われた。ポイントを先行された初戦、残り1分余りで逆転の一本勝ち。「待てのたびに『お父さん、頑張って』と子どもの声が聞こえ、負けたくないと思った」。決勝での敗戦に号泣した長女の脳裏に、父の勇姿は間違いなく刻まれた。

 高校で柔道を始めて2年弱で目の難病を患い、2カ月ほどの入院を経て柔道部に戻った。「よく目が悪くなってもなぜ柔道を続けたんですか、と聞かれるけど逆。柔道があったから心が折れずに乗り越えられた」。特定の師匠はいない。「柔道を通して障害と向き合えたり、成長を得る人と出会えたりした」。柔道そのものが我が師なのだろう。

 パラ柔道に転向した当初、健常者の時は県大会でも勝てなかった自分が、競技人口の少なさから日本選手権で2位、世界大会では準優勝。「こんなレベルなのか」と戸惑ったが、「優勝してないから、そんなことを言う資格はない」と先輩パラリンピアンにさとされ、金メダルを目指した。

 そこには届かなかったものの、当時感じた違和感は持ち続ける。だから後輩たちの振る舞いが気になる。東京大会が決まって注目度や環境が劇的に改善する中、おごってはいないか。今後は指導に携わり「人間力も身につけたロールモデルと呼ばれる選手を作りたい」。それがひいては社会の障害者理解につながる。

 無類の読書家。月40冊はオーディオブックを聞く。山下泰裕氏の著書にあった、「最強の選手ではなく最高の選手を育てたい」との言葉に強く共感している。

(摂待卓)

 ひろせ・まこと 1976年11月22日、愛知県西尾市生まれ。西尾東高で柔道を始めたが、2年時に視神経に異常をきたすレーベル病を発症し、2・0の視力が0・01まで低下。高卒後に視覚障害者柔道に転向した。
 初出場の2004年アテネ・パラリンピックで60キロ級銀メダル獲得。北京で7位、階級を66キロ級に上げたロンドンでは5位。リオデジャネイロでは60キロ級に戻して銀メダル。名古屋盲学校高等部の教師で、はり・きゅう、マッサージを教えている。

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