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トランプ氏の政策で市場は安定するか

2016/12/4 2:30
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 米国の次期大統領に共和党ドナルド・トランプ氏の就任が決まって以来、米国の長期金利が上昇し、外為市場ではドル高・円安が進んでいる。日米ともに株価も上昇基調を強めてきた。

 大統領選の過程では、トランプ氏の政策が世界の経済や市場を混乱させるとの警戒感が強かった。予想に反して株式相場などが堅調だったのは、インフラ投資や減税に関するトランプ氏の発言を市場参加者が都合よく解釈してきた面が強い。今後打ち出される政策の中身や整合性をよく見きわめなくてはならない。

 最大の懸念の一つは、トランプ氏の保護主義的な姿勢が実際に表れ始めた点だ。自国の空調大手に働きかけメキシコへの生産移転をやめさせたうえ、北米自由貿易協定(NAFTA)を「まったくの災害」と批判した。

 政治権力が民間企業の投資にここまで介入するのは、米国では極めて異例だ。多くの企業が米国に拠点を構える日本としても看過できるものではない。

 こうした自国第一の保護主義と、足元の市場の動きは辻つまがあわない。ドル高が続けば貿易相手国の輸出競争力が強まり、米国の産業に打撃を与えかねないからだ。このためトランプ氏が通商交渉を通じてドル安誘導に動くとの見方は根強い。そうなると円は強含み、日本の株価が下落に転じる懸念が浮上する。

 逆に、米長期金利の上昇とドル高が今後も続けば、新興国経済が不安定になりかねない。米国への資金流出に見舞われた新興国が利上げに迫られ、景気に悪影響を与える可能性がある。

 多くの新興国企業はドル建て債券を発行しているため、ドル高・自国通貨安は元本償還の負担を増やす。新興国通貨は総じて対ドルで安い水準にある。新興国企業の信用力が揺らげば、金融市場でリスクを避ける動きが強まり日本市場も混乱しかねない。

 いずれにせよトランプ氏の経済政策は中期的に見て、世界の経済や市場を不安定にする要素を多分に含むと考えられる。

 財務長官や商務長官など、米次期政権の経済閣僚の顔ぶれが固まってきた。知日派とされる人物も含まれる。日本の政府や企業は円安・株高に安心するのではなく、次期政権との人的つながりを築き、トランプ氏の経済政策の分析を急ぐべきだ。

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