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「トランプ旋風」乗り越えパリ協定を前へ

2016/11/21 3:30
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 モロッコで開いた国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)が閉幕した。2020年以降の地球温暖化対策を決めた「パリ協定」が発効して初めての会議で、協定のルールづくりのスケジュールをまとめ削減行動へ一歩ふみだした意義は大きい。

 米大統領選挙で温暖化を否定するトランプ氏が勝ち、協定の行方には暗雲が漂う。ケリー米国務長官は会場で「米国は約束を守る」と断言し、米政府は50年までの長期の削減戦略もいち早く公表したが、先行きは不透明だ。

 しかし、だからこそ他の参加国は結束して協定をしっかり前に進めよう、という機運が高まった。COP22に合わせて、米国はパリ協定にとどまるべきだとする公開書簡を、世界の365の企業や組織がトランプ氏や米議会にあてて出したのは、その一例だ。

 パリ協定は今世紀後半に世界の温暖化ガス排出量を実質ゼロにすることをめざす。昨年12月のCOP21で採択され、今年11月に異例の速さで発効した。世界で1、2位の排出国である中国と米国が、早期の発効を主導した。

 規定のうえでは、締約国は発効後4年間は協定を離脱できない。ただ、トランプ氏は大統領権限で批准手続きを取り消す可能性がある。トランプ氏はじめ米国の次期政権に対して、国際社会はパリ協定に残るよう強く働きかけていかなくてはならない。

 鍵を握るのは米企業や投資家の動きだろう。協定の発効で省エネ技術などへのニーズが高まるのは確実で、新たな商機を生む。国益を重視し「偉大な米国を」と訴えるトランプ氏の考えと、環境分野で産業競争力を高めることとは矛盾しないはずだ。

 カリフォルニア州のように独自に温暖化ガス対策を実施している州政府もある。排出削減の流れが大きく逆戻りしてはならないという声は、米国内にも多い。

 協定の批准が遅れた日本は一部の会議でオブザーバー参加にとどまるなど、COP22で存在感を示せなかった。環境関連の優れた技術力をもち途上国支援の実績もあるのに、協定を実行に移すうえで大きな力になっていない。

 安倍晋三首相は外国首脳として初めてトランプ氏と会談した。これからも温暖化問題への積極的な取り組みを米国に呼びかける機会があるかもしれない。日本政府の積極的な貢献に期待したい。

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