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企業も便乗 ハーゲンダッツのハート探し

2016/9/14付
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 幸せのハーゲンハート探し――。こんなうたい文句を掲げたハーゲンダッツ ジャパン(東京・目黒)の特設サイトが人気だ。アイス「ハーゲンダッツ ミニカップ」の内蓋をめくるとハート形の空洞が現れることがあり、これを「ハーゲンハート」として種類や出現率を紹介。サイトを見たファンのつぶやきが10万件以上も拡散された。

ハート形は原液と内蓋の間の空気の位置などで形が決まる(写真上は理想形のイメージ)。8月10日の「ハートの日」に都内で1千個を配布した(同下)
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ハート形は原液と内蓋の間の空気の位置などで形が決まる(写真上は理想形のイメージ)。8月10日の「ハートの日」に都内で1千個を配布した(同下)

 空洞はアイスクリームの原液を容器に入れて冷凍する際にできる。原液と内蓋の間の空気の位置などで形が決まり「意図的に作っているものではない」(同社)。この空洞が偶然ハートのような形になることがある。

 同社が情報発信を始めたきっかけは、この偶然できたハート形が交流サイト(SNS)に投稿されていたことだった。2016年のハーゲンダッツのブランドメッセージが「幸せだけで、できている」だったことも踏まえ、「幸せのハーゲンハート探し」と題した特設サイトを立ち上げた。

 7月にサイトを作ったところ、これを見た消費者がツイッターで発信。多いものは10万リツイートを超えた。タレントなど影響力のある発信者を使ったわけではなく、消費者の間で自然に広がっていったという。

 特設サイトに掲載しているのは11種類の「ハーゲンハート」だ。担当者らが約1千個を実際に開けて調べ、ハートの種類と出現率を掲げた。

 きれいなハート形の「クリアハート」の出現率は0.2%しかない。最も出現率が高いのは26.5%の「スマイルハート」。口を開けて笑っているような形だ。このほか空洞が左右非対称の「浮気なハート」、空洞のなかに丸い膨らみができた「心にぽっかり穴ハート」など遊び心を持たせたハート形も紹介する。

 レアアイテムもある。空洞ではなく、逆にハート形の膨らみができた「ポジティブハート」は0.1%の出現率だ。同社が「黄金比」と表現する完璧な美しさの「パーフェクトハート」は約1千個の調査では出現しなかった。未発見の幻のハートだという。

 8月10日の「ハートの日」には都内で「ミニカップ バニラ」1千個を配布。ハートにちなんだイベントに合わせてハーゲンダッツの新たな楽しみ方をアピールした。

 SNSの普及により、メーカーがリアルタイムで消費者の反応を把握しやすくなった。その反応を拾ってメーカーが逆提案。その高い発信力がさらにSNSで話題を呼ぶ。「ハーゲンハート」のような好サイクルの事例が増えている。

 代表例は日清食品の「10分どん兵衛」だ。ラジオ番組で「日清のどん兵衛 きつねうどん」にお湯を入れて、メーカー推奨の2倍の10分待つと違う食感で楽しめると紹介され、SNSで話題に。これを踏まえて同社が「5分でおいしさを届けることに縛られすぎていた」とおわび文をホームページに掲載。「日清、まさかの謝罪」とさらにSNS上で話題を呼んだ。

 メーカー発の一方通行の商品アピールが額面通り消費者に届くとは限らない。消費者の声に耳を傾けるだけでなく、便乗する。メーカー側が想定もしていなかった楽しみ方を見つけ、取り込むことが新たなファン作りに欠かせなくなっている。(今井拓也)

[日経MJ2016年9月14日付]

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