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政府は労働改革全体の見取り図を示せ

2016/9/5 3:30
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 安倍晋三首相が「最大のチャレンジ」と位置づける働き方改革が始まる。これを機に政府は、労働分野全体について改革の見取り図を明確に示してはどうか。大事なテーマが置き去りにされる心配があるからだ。

 政府は働き方改革として、仕事が同じなら賃金を同じにする「同一労働同一賃金」の実現や、長時間労働の是正などに取り組む構えだ。同一労働同一賃金は非正規社員の処遇改善に役立つ。長時間労働の見直しは女性の就労や仕事と介護の両立を促す。

 いずれも重要課題であることは間違いないが、忘れてはならないのが、労働力を成長産業や需要のある分野に移していく柔軟な労働市場づくりだ。人を成長分野に移していけば、日本全体の生産性が高まる。その結果、賃金も上がりやすくなる。

 IT(情報技術)の進化やグローバル化で産業構造の変化が速まり、衰退産業から成長産業へ人を動かしていく必要性はこれまで以上に高まっている。

 7月末に設置期限の切れた規制改革会議は「失業なき労働移動」を掲げ、労働力が移りやすい環境整備を課題に挙げていた。政府はそのための制度改革などの政策を練り、長時間労働の是正などとともに本格的に取り組むべきだ。

 具体策を提案したい。ひとつは職業紹介機能の強化だ。ドイツは労働市場改革のなかで職業紹介機関に数値目標を立てさせ、競争を促した。日本もハローワークの業務の民間開放を進めるなどで競争を活発にする必要がある。

 民間の人材サービスを活用しやすくする規制改革も要る。例えば求職者本人から手数料を取る紹介事業は対象が限られている。思い切った見直しが求められる。

 職業訓練は重要性が一段と増している。バウチャー(利用券)方式で受講者が自由に講座を選べるようにすれば、訓練施設間の競争によってIT関連など成長分野の講座を充実できるだろう。

 不当解雇をめぐる紛争を金銭補償で解決する制度は、本人が別の職場で再出発するのを助ける意義がある。米国や英国、ドイツなどにも解雇の金銭解決制度はある。労働力の移動を促す手立てととらえ、日本も制度化を考えたい。

 企業の浮き沈みが激しいなかでは柔軟な労働市場づくりが雇用の安定のカギを握る。労働政策としての重要性は一段と増している。

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