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相模原事件が問いかけるもの

2016/8/26 3:30
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 相模原市の障害者施設で入所者19人が殺害された事件から1カ月がたった。全容はまだ解明されていないが、社会的な弱者を狙ったこの事件が私たちに問いかけているものは重い。

 調べに対して容疑者は、一貫して「障害者はいなくなればいい」などと主張しているという。事前の準備や犯行状況をみても妄想や薬物の影響ではなく、極めて偏った強固な思想による犯行だったことをうかがわせる。

 なぜ容疑者は障害者への強い差別意識を抱き、それが強い殺意にまで飛躍したのか。同じような悲劇を繰り返さないために、容疑者に対する医学的見地からの調べはもちろん、こうした犯罪を生む土壌が広がっていないかどうか、私たちの足元を見直してみる必要がある。

 欧米では近年、自分と異なる民族や宗教、性的少数者などを敵視し、攻撃する「ヘイトクライム(憎悪犯罪)」と呼ばれる犯罪やテロ行為が目立っている。相模原の事件は、障害者を一方的に敵視する姿勢や犯行を予告するゆがんだ自己顕示欲などに、憎悪犯罪と似通ったものを感じさせる。

 憎悪犯罪の背景には、他者の行動や考えに不寛容な風潮や、格差の拡大といった社会の分断があるとされる。どんなに極端な主張でも、インターネットで検索すれば同じ思想の人たちに行き当たるという問題も指摘されている。

 周りを見渡せば、だれにでも思い当たるような場面があるはずだ。障害者や高齢者に対する虐待や差別は、日常の生活の中でも見聞きする。今回の事件は、「特異な容疑者による特異な犯罪」ではないかもしれない。

 障害者に限らず、子どもやお年寄りのための施設を、この事件のような悪意からどう守っていくかも大きな課題だ。高い塀で囲って隔絶することが望ましい対策とは思えない。行政や自治体、警察などが一体となって、「地域に開かれ、犯罪にも強い」施設づくりに知恵を絞っていく必要がある。

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