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「落ちてくるナイフ」危ないVBの見抜き方
ジョアナ・ドレイク・アール(コア・ベンチャーズ・グループ ジェネラルパートナー)

2016/8/9付
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 シリコンバレーでは、経営が悪化しているスタートアップ企業は「落ちてくるナイフ」と呼ばれている。私は5月末にこのコラムでスタートアップ企業への投資のリスクが高まっていることを指摘した。どうすれば落ちてくるナイフに直面している人にそのことを教えてあげられるのだろうか。

Current TVなどのメディア関連企業のエグゼクティブやDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナーに就く。スタンフォード大学修士、カリフォルニア大学バークレー校卒。

Current TVなどのメディア関連企業のエグゼクティブやDeNA Westの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナーに就く。スタンフォード大学修士、カリフォルニア大学バークレー校卒。

 通常、スタートアップへの投資や買収は「魅力的な取引に参加できる非常に特別な機会」として持ち掛けられる。この種の打診は新しい投資家が最後の頼みの綱として求められていることの表れである。なぜなら、本当に魅力的な取引は投資家の利益を守るために既存の投資家によってガードされているからだ。

 他に注意すべき危険信号もある。トップレベルのベンチャーキャピタル(VC)とあまり縁がないような小規模の投資家からの紹介であれば注意した方がよい。また、事業を存続させるための資金調達を目指しているアーリーステージのスタートアップへの投資も避けるべきだ。こうした企業の多くはかなり強固な後ろ盾を持った有力なベンチャー企業との戦いに直面して生き残り策を模索している。既存のシリコンバレーの投資家たちがこれ以上投資しないことを選択した企業でもある。

 私たちの最良の助言はシリコンバレー内部で信頼できる人的資本ネットワークを構築することだ。シリコンバレーには開放的なイメージがあるが、投資に関する仕組み(エコシステム)は閉鎖的だ。

 シリコンバレーには「インキュベーター」や「アクセラレーター」と呼ばれる人や企業がいる。彼らはスタートアップの支援に携わっており、シリコンバレーの外にいる投資家にはオープンな態度で接している。だが、経験が豊富な起業家やプロフェッショナルの投資家は、インキュベーターやアクセラレーターを投資のパイプライン役として信頼していない。熟練したシリコンバレーの投資家は占有的な取引の流れを入手することで成功を収めている。

 多くの日本の投資家たちはオープンな市場で投資案件を見つけ、スタンフォード大学のイベントに同じように参加し、スタートアップの紹介を共有する。大半の日系企業はスタートアップへの投資のエコシステムの外にとどまっている傾向が強い。スタートアップの取締役や最高経営責任者(CEO)が新しい資金調達の準備をする際に、彼らを投資家候補のリストに入れることはほとんどない。

 スタートアップへの投資はいつごろ回復するのだろうか。我々はスタートアップの創業者や既存の投資家の一部が「屈服」するようになったときに底を確認できると想定している。その兆候は起業家たちが自分たちの会社をたたんでシリコンバレーから出ていき、企業の仕事に戻っていくことだ。

 生き残りを図る起業家は、投資家とのミーティングにおいて、自社の過去の評価額は持続可能なものではなかったことを認める場合がある。このようなミーティングが始まったとき、私たちはスタートアップ投資の環境が底入れしつつあると判断する。

 我々は次の「復活」の段階を待っている。最高の創業者がその情熱と勇気を通して素晴らしい企業をもう一度作り、新たに集まった才能を引きつけ、新しいマーケットで飛び出してくるだろう。日本企業がシリコンバレーのスタートアップと提携する機会も多く生まれる。

[日経産業新聞2016年8月9日付]


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