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適正な住宅診断で中古住宅を買いやすく

2016/6/6 3:30
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 中古住宅の取引の活性化を目的とする改正宅地建物取引業法が先の国会で成立した。安心して中古物件を取得できるように、取引を仲介する業者が売り手や買い手に住宅診断を実施するかどうか確認することを義務付けた。

 日本では年々、空き家が増加している。2013年で約820万戸と住宅総数の13.5%を占める。23年には約1400万戸に膨らむという試算もある。

 空き家の発生を抑え、消費者が安価な住宅を取得しやすくするためには、中古住宅の取引をもっと増やす必要がある。日本の住宅の流通戸数に占める中古物件の比率は13年で14.7%と、欧米に比べて大幅に低い。

 消費者が中古物件を敬遠する理由のひとつは住宅の質に対する不安だ。実際、物件を購入した後に不具合が発覚して、トラブルになる場合がある。熊本地震を受けて、住宅の耐震性への関心も一段と高まっている。

 そこで国土交通省が打ち出したのが、第三者である建築士などがひび割れや雨漏りのような建物の劣化状況を調べる住宅診断の普及だ。インスペクションと呼ばれ、米国では中古物件の買い主の8割程度が実施しているが、日本ではまだ少ない。

 今回の法改正で、売買を仲介する業者は住宅診断をするかどうかを顧客に確認し、実施した場合にはその結果を買い手に説明することが義務付けられた。契約時には建物の基礎や外壁などの状況を書面で売り手と買い手の双方に示すことも必要になった。

 診断をすれば建物の安全性が確認できるうえ、購入後のリフォーム計画なども作りやすくなるだろう。建物の現状を把握したうえで契約するので、その後のトラブルも少なくなるとみられる。

 一方、改正法には心配な点もある。仲介業者が診断をする建築士などをあっせんできるようにした点だ。紹介してくれた業者に配慮して診断がお手盛りになっては困る。改正法を運用するうえでは診断する建築士の中立性を担保できる仕組みにすべきだ。

 住宅診断は現在、民間の専門業者などが手掛けている。診断を普及させるためには、必要な調査項目などの基準を作る必要があるだろう。日本では消費者の新築志向が根強いだけに、国や自治体が住宅診断を助成する制度なども検討してほしい。

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