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デザイナーの能力を生かせない日本企業の仕組み
ブランドン・ヒル(米ビートラックスCEO)

2016/4/26付
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 最近のサンフランシスコ周辺では、スタートアップ企業を中心に、デザイナーへの需要が高まっている。使いやすさや利用時の心地よさ、見た目の良さなど、デザイン性の高いプロダクト(製品)が人気を博し、機能性よりも利用体験の品質の高さを消費者が求めていることが原因だ。消費者の求める内容をとらえ、製品に反映させるのがデザイナーの役割になる。

札幌市生まれ。サンフランシスコ州立大学デザイン学科在学中からウェブサイトのデザイナーとして活躍。卒業後の2004年にブランディング・ユーザーエクスペリエンスデザインを手掛けるビートラックスを設立。趣味はバイク、テニス、ロック音楽。

札幌市生まれ。サンフランシスコ州立大学デザイン学科在学中からウェブサイトのデザイナーとして活躍。卒業後の2004年にブランディング・ユーザーエクスペリエンスデザインを手掛けるビートラックスを設立。趣味はバイク、テニス、ロック音楽。

 デザイナーはグラフィックやウェブ、建築やインテリアなど様々な領域で活躍している。一方、デザイナーに対する一般的なイメージはかなり現実と異なる場合が多い。特に日本でいうところのデザイナーと米国、特に西海岸におけるデザイナーとでは、その役割や仕事内容、守備範囲に至るまでかなり異なっている。

 日本でデザイナーというと、多くの場合、見た目の良さを実現するための役職であり、絵を描いて形だけを決めていると思われがちだ。

 実はそれらは彼らの役割のごく一部でしかない。本来デザイナーの仕事というのは、与えられた制限の中で最大限の結果を生み出すプロセス、そのすべてにかかわる職業である。その仕事の中には、ターゲット層の設定や、どのように売るか、そしてどのくらいの値段に設定するかといった全体のコンセプトを決めることも含まれる。絵を描くことだけがデザイナーの仕事ではないのだ。

 最近では多くの米国企業において、ビジネスにおけるデザイナーの重要性が高まっている。製品製作プロセスの最終段階において見た目の良さをチェックするだけにとどまらず、ビジネス全体の方向性をつかさどることにもデザイナーの守備範囲が広がっている。彼らの仕事は、解決すべき問題に対して、消費者の目線から最適なソリューションを考えることである。特に数値では理解しにくい部分をある程度の感覚値を含めた方法で表現する。

 今後、デザイナーに求められる能力が高くなるとともに、デザイナーが企業に貢献できる範囲も広がっていくだろう。しかし、日本でのデザイナーの役割は限定的である。日本企業の仕組みがクリエイティブな仕事の邪魔をするようになっていることに理由があると思う。

 理想的なデザインプロセスでは、デザイナーの考えが製品製作の最初から最後まで一貫して反映する。しかし、多くの日本企業の場合、組織を中心に考え、アイデアやプランを会議で議論する。会議は、出て来たアイデアを整理したり、より発展した考えを導くキーワードを探したりするのに適しているが、ビジュアル(視覚)を基にしたクリエイティブなアイデアは出てきにくい。

 個人より組織の論理を優先する傾向が強い日本では、個人としてのデザイナーのカラーを集団が打ち消してしまう可能性が高い。アウトプット(製品の最終的な形)が当初デザイナーが情熱を持って考えだしたコンセプトから大きくブレてしまうこともよくある。

 日本には、とてもクリエイティブで良い仕事をするデザイナーが多くいる。彼らの魅力や能力を組織のシステムが打ち消してしまっているのは非常にもったいない。デザイナーの地位がより向上し、社会や企業の中でも彼らの意思がもっと尊重されるようになれば、ビジネス的な観点からも非常に有益な製品製作が可能になると思われる。

[日経産業新聞2016年4月26日付]

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