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「迷子の土地」の実態を把握し手を打て

2016/4/24 3:30
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 所有者がわからない「迷子の土地」が目立ち始めている。所有権が移っても新たに登記しない人が増えているためだ。災害復旧や徴税事務など様々な分野で障害になっている。

 国土交通省が昨年、実施した調査をみると、都道府県の大半が過去5年以内に「所有者の把握が難しい土地が存在した」と回答した。市町村の多くも同じだった。

 その結果、公共事業や災害復旧のための用地が確保できず、事業を中止したり、ルートを変更したりする事態が生じている。東日本大震災で高台に被災者の移転用地を整備する時にも問題になり、早急な復興の妨げになった。

 東京財団が自治体の税務担当者に実施した調査でも、土地の所有者がわからず、問題が生じたことが「ある」という回答が6割強になった。所有者がわからなければ固定資産税の徴収が難しくなる。

 影響が出ているのは災害復旧や徴税だけではない。農地を再編して規模を拡大しようと思っても耕作放棄地の所有者がわからず、一向に進まない。地籍調査の障害にもなっている。

 一般に土地を取得したり、相続したりした場合は、新たに登記するが、あくまで任意で義務ではない。このため、所有権が移っても登記簿上は以前の所有者のままというケースが珍しくない。相続を放棄する人も増えている。

 背景にあるのはバブル経済の崩壊をきっかけとする国民の土地に対する意識の変化だ。かつては土地を資産とみなす人がほとんどだったが、地価の下落で土地を保有する魅力が薄れてきた。

 伝統的な地縁・血縁社会が壊れてきたことも一因だ。地方でも土地保有に伴う管理の手間や費用負担を避ける傾向が強まっている。

 このまま「迷子の土地」が増えるのは国土を適切に管理するうえでまずい。まずは国と自治体が協力して、死亡届が提出された段階で登記など土地に関する制度についてもっと説明する必要がある。

 所有者が不明な土地が具体的にどれだけあるのかすらわからないのが現状だ。いくつかの地域に限ったサンプル調査でも構わないから実態を早急に調べるべきだ。

 ひとつの宅地でも、区画(筆)が分かれていれば別々に手続きが必要になるなど、登記は煩雑すぎるという声も多い。できるだけ簡素化し、登記に必要な費用の引き下げも検討してほしい。

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