ここにも活断層が 震度7、連鎖の衝撃(2)
ルポ迫真

2016/5/11 3:30
共有
保存
印刷
その他

 「ひどいな……」。4月16日朝、研究の拠点である仙台から福岡へ飛び、レンタカーを走らせて現地に向かった東北大学教授の遠田晋次(49)は思わずうなった。視界に壊れた家々が続く。活断層の専門家として数多くの直下型地震の被災地に足を運んできたが、震度7を連発し、震源域が100キロメートル以上に及んだ今回の地震の被害は想像を超えていた。

東北大は御船町の畑に日奈久断層帯とみられるずれを発見
画像の拡大

東北大は御船町の畑に日奈久断層帯とみられるずれを発見

 17日、遠田は熊本県御船町に入った。自ら確かめたいことがあったからだ。「ここにも現れていたか」。目にしたのは畑を横切る不自然な亀裂。地震の規模が大きく、断層が地表に顔を出していた。日奈久(ひなぐ)断層帯と呼ぶ活断層がずれた痕跡だった。

 「ずれが大きい。まだ危ないぞ」。背筋が冷たくなった。マグニチュード(M)7.3を記録した16日未明の「本震」は、布田川(ふたがわ)断層帯で起きた。だが御船町の痕跡は、南にあるもう一つの日奈久断層帯も連動した事実を物語っていた。余震域は南にも広がり、また大きな地震が来ることが気がかりだった。

 活断層がずれ動くのは1000年から数万年に一度。いつ地震を発生させるかは誰にもわからない。それでも遠田は言う。「大地震を起こした断層が周辺にどう影響するのか。今後、何を警戒すべきか。きちんと知るために現場に入る」

 4月19日、名古屋大学教授の鈴木康弘(55)は南阿蘇村で、阿蘇山噴火の堆積物に隠れていた活断層のずれが地上にむき出しになった様子を確認した。本震を起こした布田川断層帯が、従来の想定より北東に長く延びていた。東海大学の学生寮など、南阿蘇村は大きな被害に見舞われた。「活断層がないと安心していた住民がいたとしたら、反省しなければならない。もっと丁寧な説明が必要だった」

 「耐震補強や家具の固定に取り組んできた人はどれほどいただろうか」。熊本大学教授の松田博貴(56)は後悔の念が消えない。防災の専門家として、減災をテーマに住民説明会を開いてきたが「伝わっていなかったのかもしれない」。震度7の揺れに襲われた益城町で目撃した被害に、衝撃を受けた。今も心に穴が空いたような感じだ。

 「想定外」だった東日本大震災から5年。熊本・大分の地震は、地震学者に再び多くの問いを突きつけた。

(敬称略)

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

北海道 27日 7:01
27日 7:00
東北 27日 7:02
27日 7:01
関東 27日 7:01
27日 7:01
東京 27日 7:01
27日 7:00
信越 27日 7:00
27日 7:00
東海 27日 14:00
27日 7:05
北陸 27日 6:10
27日 6:01
関西 27日 6:02
27日 6:00
中国 27日 6:02
27日 6:00
四国 27日 6:02
27日 6:00
九州
沖縄
1:07
27日 2:00

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報