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「社会的インパクト投資」を育てよう

2014/10/6付
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 障害者や低所得者への支援など国内外には解決が望まれる数多くの社会的な課題がある。通常、これらの問題解決は政府の仕事だ。民間が投資して利益をあげる分野にはそぐわない。ところが今、「社会的インパクト投資」という社会問題解決と収益の両立を目指す投資が世界的に注目されている。

 きっかけは昨年6月の主要8カ国(G8)首脳会議だった。議長国のキャメロン英首相の呼びかけで、社会的インパクト投資促進のため、各国に政府関係者や専門家からなる組織が設けられた。この組織が議論を重ねた結果がこのほど報告書としてまとまった。

 報告書は同投資が「多様化・複雑化する社会的課題解決について価値観の大きな転換をもたらすだろう」と解説する。

 そして各国政府や投資家に対し「収益をあげながら社会的課題の解決を継続できる社会的企業の育成や環境整備」「リスク、リターンに加え社会的インパクトを考慮した投資の推進」を提言した。

 具体的な事例が英国にある。出所した元受刑者の再犯率の高さに悩んでいたある刑務所は投資家から資金を集め、その資金で受刑者に対する再犯防止教育を実施した。社会的企業がそのプログラムの企画、実行を受託している。

 成果は出て、再犯率低下が確認された。刑務所は再犯率が下がったことで削減できる行政コストの一部を投資家に還元するという。

 先進各国はどこも財政は厳しく、すべての課題を行政で解決するのは難しい。そこで民間の資金と社会的企業という民間の新たな事業体の出番となる。社会的企業は柔軟な発想でこれまでの行政では思いつかなかった効率的な事業の展開が期待できる。

 そこに投資しても大きな利益は望めないかもしれない。しかし、ある程度の収益と「住みよい社会」という配当が得られるのなら、投資を検討する価値は十分にあるのではないだろうか。

 日本でもすでに社会貢献を組み込んだ金融商品が登場している。一部自治体ではこのような資金活用の検討も始まっている。休眠預金の資金を利用して社会的インパクト投資の呼び水にしようという構想もある。

 一方で、投資した資金がずさんに使われないよう、事業成果をきちんと測定する仕組みなども必要だ。同投資の活性化へ向けた知恵と工夫が求められる。

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