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女性登用には働き方改革が必要だ

2014/7/28付
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 管理職や役員になる女性を増やそうと、行動計画を立てる企業が増えてきた。具体的な数値目標をあげる企業も目立つ。企業の「本気度」を社内外にアピールし、女性の登用や育成を着実に進めていくための手段として、前向きに評価できる。

 ただ、それには、長時間労働の見直しなど、働き方の抜本的な改革が不可欠だ。男女ともに当事者となり、職場を変えていくチャンスとしたい。

管理職なお1割程度

 女性の登用を後押しする動きが相次いでいる。経団連は会員企業に自主行動計画をまとめるよう呼びかけ、まず約50社分をホームページで公開した。「女性管理職数を2020年に3倍、30年に5倍に」(トヨタ自動車)、「20年度までに女性役員2人以上」(全日本空輸)などの目標が並ぶ。

 政府も6月の成長戦略で、女性の活躍推進を柱に据えた。実効性を高めるために、企業に行動計画づくりなどを促す新しい法律を制定する方針も打ち出した。

 日本の女性はどこまで職場で活躍しているのか。足元の数字は厳しい。14年の男女共同参画白書によると、就業者に占める女性の割合は、日本は欧米各国に比べて著しく低いわけではない。しかし管理的な立場の人に限ると、1割程度の日本に対し、米国は4割を超える。フランスやスウェーデンなども3割を超えており、日本のかなり先を行っている。

 政府は指導的地位に占める女性の割合を20年に30%にする目標を掲げている。日本の現状との隔たりは大きい。

 男女問わず意欲と能力のある人が力を発揮できるようにすることは、企業の成長にとって欠かせないテーマだ。単に労働力不足を補うためではない。多様な経験と価値観を持つ人材がいる職場は、より創造性の高い職場になりうる。

 もちろん、すべての働き手が管理職を目指すわけではないだろう。しかし意欲を阻む壁があるなら取り除いていくことが必要だ。

 まずは育成に向けた地道な取り組みを進めたい。管理職向けに女性社員の育て方を教える研修を開いたり、女性を対象にキャリア意識向上の研修を開いたりする企業は多い。

 特に管理職の役割は重大だ。同じように接しているつもりでも、つい男性の部下にだけ目を向けたり、女性に過剰な配慮をして能力を伸ばせなかったりすることもあるからだ。

 取り組むべき課題は、さらにある。女性管理職が少ない理由としてよく「本人が希望しない」という声が聞かれる。しかし女性側の意識の問題だけなのだろうか。背景をよく見ていくと、長時間労働や、仕事と家庭の両立が難しいことが、女性を尻込みさせている例も少なくない。

 そもそも子どもを持つ段階で仕事か家庭かの二者択一を迫られ、退職する女性は今なお多い。一度職場を離れると好条件での再就職は難しい。これでは管理職候補となる女性の数は限られてしまう。

 良質な保育サービスの拡充が就業継続の支えになることはもちろんだが、それだけでは不十分だ。

 カギを握るのは、長時間労働を見直し、職場環境そのものを変えていくことだ。子育てによる時間的制約があっても、仕事の内容や進め方を見直し、効率的に働けるような工夫をすることはできる。

男性はもっと家庭に

 フレックスタイムや在宅勤務など柔軟な働き方を広めることや、時間ではなく成果で評価する仕組みをつくることもあわせて必要になる。再雇用制度や中途採用などにより、女性の再チャレンジを後押しすることも大事だろう。

 同時に、男性がもっと家庭で役割を果たせるようにすることも欠かせない。日本の男性が育児や家事にかける時間は、欧米に比べ短い。育児休業からの復帰セミナーに夫婦そろっての参加を呼びかけたり、男性社員に短期間であっても育児休業の取得を促したりする企業もある。こうした取り組みはもっと広がっていい。

 高齢化が進む日本では、今後、男女問わず親の介護に直面する働き盛りの人が増える。女性が育児や家事、介護を担い、男性が長時間労働に没頭する。このモデルではもはや乗り切れない。

 女性の登用に向けた取り組みは、女性のためだけではない。時間的な制約の有無を含め、様々な属性を持つ人材がそれぞれの力を発揮できるよう、職場環境を変えていくことにつなげたい。多様性を包み込む、柔軟で力強い職場にしていくための一里塚だ。

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