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ゴール急ぐな新競技場づくり

2014/6/1付
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 東京・神宮外苑につくられる新国立競技場の基本設計ができあがった。建築家や市民団体の批判を受け、当初案より規模を縮小した形になっている。それでも疑問は消えない。情報も十分に公開されているとはいいがたい。

 これからは着工、完成を急がず、幅広いコンセンサスを得ながら計画を進める必要がある。

 新国立競技場は2020年の東京五輪の主会場になる。ただ、設計の国際コンペは一昨年、五輪開催が決まる前に行われた。選ばれたイラク出身の建築家の作品もその時点では関心を集めなかった。

 ところが、東京五輪が決まり設計の中身も明らかになるにつれ、見直しを求める声が強まった。景観への影響と巨額の建設・維持費。主にふたつの懸念からである。

 神宮外苑は「神宮の森」と呼ばれる緑の多い場所だ。ここに、間もなく取り壊しが始まる現競技場の1.6倍の敷地面積を持つ高さ70メートルの巨大建造物ができる。70メートルは20階建てくらいのビルの高さだ。威圧感は否定できない。

 一方、建設費も一時は3千億円に上ると見込まれた。規模や設備を見直し、今の計画では周辺整備を含め1625億円にまで削られたが、なお巨額である。

 年間40億円を超えるという維持費に見合う収入が五輪後もあるのかどうかについても、施設を運営する日本スポーツ振興センターの皮算用の甘さが指摘されている。

 エッフェル塔のように、できた当初は強烈な批判にさらされながら名物になった建築はある。しかし、収容8万人という求められる機能を守り、採用するデザインも生かしながら、周辺環境や現在、未来の財政に負担の少ない施設を目指す工夫は要るだろう。

 新競技場は19年のラグビー・ワールドカップに使うため同年3月に完成予定だ。五輪に間に合わせることを目標にすれば1年の余裕ができる。その時間を情報公開と徹底した議論に充ててはどうか。

 気づくと日本橋を高速道が覆っていた。その愚は繰り返せない。

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