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「原発ゼロ」提言はあまりにも無責任だ

2012/9/7付
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 原子力発電所を全廃したときの経済や国民生活への悪影響をどのように考えているのか。民主党の調査会が「2030年代に原発の稼働ゼロ」をめざすとする提言をまとめた。エネルギー政策が国の命運を左右することを考えればあまりに拙速で、政権政党として無責任といわざるを得ない。

 提言は、国内の50の原発は40年間の運転制限を厳格に適用し、一部は廃止を前倒しして「原発ゼロ社会」をめざすとした。

 民主党政権がこれまで示してきた「脱原発依存」から「原発ゼロ」へと大きく踏み込む内容だ。同党はこれを衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込む。政府は提言を踏まえ、来週にも30年までのエネルギー戦略を示す。

 福島第1原発事故の影響で原発の新増設は難しくなり、国民に「脱原発」を求める声は多い。しかし経済や産業、雇用への悪影響について十分な説明もなしに「原発ゼロ」を打ち出すのは、選挙対策とみられても仕方あるまい。

 私たちは、原子力をエネルギー政策の選択肢から外すのは賢明ではないと重ねて主張してきた。

 化石燃料に過度に頼ったために起きた1970年代の石油危機のような事態を繰り返してはならない。多様なエネルギーを確保して電力を安定供給することが、産業や雇用の空洞化の回避につながる。地球温暖化を防ぐためにも原発の役割は大きい。

 自然エネルギーや省エネの拡大に最大限努めたうえで、原発は一定数を維持し、5~10年後にその位置づけを決めるべきだ。

 民主党の提言でとりわけ懸念されるのが、原子力の安全を支える技術や人材の流出だ。原発ゼロを打ち出せば、当面の運転に欠かせない技術者が散り、安全を高める研究に携わる人材も集まらない。原発メーカーが生産基盤を維持するのも難しいだろう。

 原子力の代わりに天然ガスなどを増やさざるを得ず、輸入額が毎年約3兆円余分にかかる。企業や家庭の電気料金を大幅に押し上げ、経済を圧迫する。使用済み核燃料の受け入れなどで国に協力してきた青森県などの意向も踏みにじることになる。

 今回の提言づくりでは党調査会の総会で異論も相次いだ。党内には「原発ゼロ」が難しいと考える意見も多いはずだ。政府が打ち出すエネルギー政策は、より多角的な視点から判断すべきだ。

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