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粉飾を封じ市場から信頼される監査を

2012/6/4付
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 巨額の損失を隠し続けたオリンパスのような事件の再発を防ぐには、どうすればよいか。そんな議論が金融庁の企業会計審議会監査部会で始まった。今後1年かけて議論し、監査制度を見直す。

 オリンパス事件は日本市場の信頼を損ねた。特に外国人投資家が日本企業を見る目は厳しさを増した。海外の信頼を得られるような、粉飾決算を効果的に封じる仕組みを考える必要がある。

 粉飾事件が起きると「なぜ監査を担当する会計士は見抜けなかったのか」という声が高まる。ところが法律は監査人の任務を、財務諸表の適正さに関する意見表明と定めるだけで、不正を見抜くところまでは強く求めていない。

 確かに、監査人には企業の内部に立ち入り強制的に調査する権限はない。粉飾を摘発するような法的な責任を課したとしても、実効性は期待できない。

 しかし、経済や企業活動にとっての資本市場の重要さを考えれば、監査人も「粉飾の発見は本業ではない」とばかり言ってはいられない。市場や社会の期待に応えるための対策を、できるものから始めるべきだ。

 例えば日本公認会計士協会が主導し、粉飾を発見するための研修を充実させることだ。多くの会計士を証券取引等監視委員会に研修に出し、不正摘発の技量を磨かせてはどうかという声もある。

 さらに一部の監査法人は通常の監査部門とは別に、粉飾の疑いが濃厚な企業を集中的に調査する「Gメン」のような部隊を内部につくる方針だという。

 こうした自主的な取り組みを後押しするための制度づくりを、企業会計審に期待したい。

 オリンパス事件で特に注目を集めた実務上の問題は、あずさ監査法人から新日本監査法人への交代に伴う引き継ぎだった。

 現在の監査基準では守秘義務の観点から、新任の監査法人は限られた情報しか引き継ぎを受けられない。前任の監査法人が粉飾リスクを感じていても、問題意識は伝わりにくい。監査法人どうしが突っ込んだ情報交換をできるよう、引き継ぎ情報の範囲を広げる方向での検討が必要だ。

 2001年に米エネルギー大手エンロンが破綻して以来、米欧でも監査制度の見直しが続く。その動向にも十分に目配りし、世界的に見劣りしない監査の仕組みをつくりたい。

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