2人殺害・切断事件 裁判員、初の死刑判決 横浜地裁判決の要旨

2010/11/17付
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 男性2人を殺害し、遺体を切断して横浜沖などに捨てたなどとして、強盗殺人などの罪に問われた無職、池田容之被告(32)の裁判員裁判の判決公判が16日、横浜地裁であり、朝山芳史裁判長は「利権を得たいという動機で2人を殺害した。欲に駆られた身勝手なもので酌量の余地はない」と述べ、求刑通り死刑を言い渡した。

判決要旨は次の通り。

 男性2人を殺害した重大事案で、死刑と無期懲役のどちらを選択すべきかが問われている。裁判員裁判でも、最高裁が死刑適用基準として示した永山基準をよりどころにして判断するのが相当。

 【犯行態様

 被害者2人は被告らに激しく暴行され、長時間ホテルに監禁された。マージャン店経営者は大金を奪われており、極めて利欲性の強い犯行だ。

 被告は会社員の命ごいを無視し、果物ナイフで首を突き刺して殺害した。肉体的苦痛、恐怖は計り知れず、犯行の態様は極めて執拗(しつよう)かつ残虐だ。家族に電話をさせてほしいという最後の願いすら聞き入れなかった態度は冷酷極まりない。

 経営者の命ごいを無視し、怖すぎるので先に殺してから切ってくれという懇願を振り切り、電動のこぎりで首を切断した。殺害方法の中でも最も残虐な部類で、恐怖や肉体的苦痛は想像を絶する。最後に家族に電話させてほしいという懇願を聞き入れず殺害に及んでおり、極めて冷酷だ。

 殺害後は隠ぺいのため、遺体を切断した上、海中や山中に投棄した。誠に残忍で、故人を悼む気持ちが欠如している。

 【動機や計画性

 被告は2人とは面識がなく、個人的恨みもなかったのに、覚せい剤密輸入、密売の利権を得たいとの動機から、自ら会社員殺害を買って出た。経緯や動機は、欲に駆られた極めて身勝手かつ悪質なものだ。

 共犯者から経営者殺害を依頼されていなかったのに、口封じを共犯者に提案し、殺害した。動機も、極めて身勝手かつ利欲的で、酌量の余地は全くない。

 遺体を遺棄する予定の海を下見し、犯行当日には遺体を運搬するスーツケースを購入したほか、電動のこぎりなどを準備した。死体損壊・遺棄では周到な計画を立てていたが、殺害方法では、やや計画がずさんだった。ただ、具体的に決めていなかったことが、計画性が高いと認めることの妨げにはならない。

 被告は、共犯者の中で最も重要な行為を担当している。経営者から現金を奪い、報酬を受け取るなど利得額は多額。

 【遺族感情

 会社員は妻と平和な家庭を築いていたのに、別れも告げられず36歳の若さで、経営者も家族や婚約者に別れを告げられず28歳で殺された。無念の情は察するに余りある。

 遺族らの受けた衝撃や悲しみは甚大だ。遺体が切断され、遺族は最後の対面すらかなわず、感情を深く傷付けられた。遺族の悲しみや怒りは現在なお、極めて深刻だ。公判で「被害者らを返してほしい。それができなければ、極刑に処してほしい」と述べているのも、無理からぬものがある。2人の殺害および死体損壊の結果は、極めて重大で、遺族の被害感情も峻烈(しゅんれつ)そのものだ。

 事件が報道され、社会に大きな不安を与えたことも、量刑上看過できない事情だ。

 【自首

 被告が覚せい剤事件で逮捕された当日、殺害などを認めた供述について、自首が成立することは争いがない。しかし、既に捜査線上に浮かんでおり、自首したのも、罪の意識や黙っているのがつらかったことから話したのではないと述べており、過大に評価することはできない。

 捜査、公判で、自分に不利益な事実も含めて、包み隠さず真摯(しんし)な態度で供述しており、それなりに評価できる。

 公判で、遺族らの証言や意見陳述を耳にした後、遅ればせながら、犯した罪の大きさや、遺族らに与えた苦しみを感じ、被告なりに罪と向き合い、謝罪と反省の意を表している。公判当初と比べ、内面の変化がうかがえ、更生の余地があるとの評価にもつながり、酌むべき事情の一つだ。

 しかし、犯行態様があまりにも残虐で非人間的であることに照らせば、変化は、被告が失っていた人間性をようやく回復したにすぎない。遺族らの精神的苦痛を和らげるものとはなっていない。

 【前科

 被告は前歴はあるが前科はない。暴力団に所属していたことはあるが、覚せい剤事件までは、社会人としておおむねまじめに働いてきた。しかし、覚せい剤事件では重要な役割を果たし、動機も利欲的で酌むべき事情はない。

 母が被告の身を案じている事情など、一般情状として、酌むべき事情がないかを検討し、議論を尽くした。しかし、最大限考慮しても、極刑を回避すべき事情があると評価できない。自首減軽の恩典を与えることも適当でない。

 【結論

 罪責の重大性に照らせば、罪刑均衡の見地からも、一般予防の見地からも、極刑をもって臨むのはやむを得ない。〔共同〕

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