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「イケてる」 若者の仏像ブームを語る イラストレーター みうらじゅんさん

2010/5/31 7:00
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 世は仏像ブーム。仏像展や秘仏開帳に老若男女が押し寄せる。この現象は何なのか。仏像ファンのイラストレーター、みうらじゅんさんに聞いた。

 昨年の阿修羅(あしゅら)展はすごかったね。東京と九州の会場で合わせて100万人も集めて。むしろ若者の方が会場には多かったし、仏像に全然興味がない人も多かったから、これはもう完全なブームだね。

 仏像に群がる若者たちの感覚は「イケてる」の一言に尽きるのでは。単純な見た目に引かれている。仏教の教えとかありがたみとかは、とりあえず横に置いといて。

 小学生のころすごく怪獣が好きで、その延長で仏像も好きになった。フィギュア(人形)感覚だった。だから今の若者たちの感覚はよく分かる。社会科の授業で仏像の小難しい知識を植え付けられる前だったのもよかった。偏見なしで、すっと仏像の世界に入れたから。当時の学校のクラスでは浮きまくったけれど、今の若者のほとんどは考え方が自由だと思う。だから仏像のかっこよさを素直に受け取れるんじゃないかな。

■そうした仏像の見方に対して批判的な意見もある。みうらさんもそれは承知しているという。

 (クリエーターの)“仏友”いとうせいこうと各地の仏像を見て回る「見仏記」の企画を始めたのは1992年。あのころは本当によく怒られた。仏教関係の人たちから、ふざけるなってね。広隆寺の弥勒菩薩(ぼさつ)像をエマニュエル夫人に例えたり、六波羅蜜寺の空也上人立像をラッパーみたいとか言ったりして。

 でも、最近はかなり変わった。有名なお寺の住職や博物館の人たちから意見を求められたり、展覧会への協力を求められたりするんだからね。

 問題は仏教そのものへの対し方じゃないかな。入り口がどうであろうと、仏教へつながっていくことに変わりはないわけだし。個人的にも最初は仏教に何の関心もなかったけど、今では仏教って本当にすごいなと思ってる。いずれは出家してみたい。煩悩が多すぎて難しいだろうけど。

 自分としては、面白いと思うことを突き詰めているだけ。以前「アウトドア般若心経」という企画で、般若心経の278字を街中の看板などで探し回ったとき、駐車場に「『空』あり」というのを見て、衝撃を受けたね。世界は悟りであふれているんだと。最近だと3D(3次元)映画の「アバター」。空海さんは平安時代に立体曼荼羅(まんだら)を作って3Dしてたんだから、完全に時代の先を行っていると感心した。

 その点、今の若者はまだおとなしいなと思う。実は阿修羅像は後ろから見るとカニに似ているんだけど、そこまで声を大にして言う人ってあんまりいないよね。

■この仏像ブームはどこへ行き着くのだろうか。

 終わらないブームはない。ブームは終わるからブームなんだよ。ただ、今の仏像ブームはかなり面白いなと思う。これまで阿修羅ファンクラブを結成したり、(ミュージシャンの)高見沢俊彦とファンクラブの公式ソング「愛の偶像(ラブ・アイドル)」を作ったり、阿修羅ボーイを決めるコンテストなんて開催したりした。もうちょっとこのブームを楽しんでいたいね。

(聞き手は大阪・文化担当 田村広済)

みうらじゅんさんの略歴 1958年京都市出身。武蔵野美術大卒。イラスト、エッセー、音楽など多方面で活躍。「マイブーム」「ゆるキャラ」といった流行語の生みの親としても知られる。

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