東京電力と原子力損害賠償支援機構は27日、東電の新体制が経営改革を進める道筋となる「総合特別事業計画」を枝野幸男経済産業相に提出した。家庭向け電気料金の10%程度の引き上げや1兆円規模の公的資金による資本注入を盛り込んだ。7月にも実施する方針だ。原発事故による賠償や廃炉の負担で経営危機に陥った東電は、政府が過半の議決権を握る実質国有化の下でコスト削減や再建に取り組む。
日本最大の電力会社で基幹産業の代表格である東電の再生がようやく動き出す。一方で値上げや資本注入、原発の再稼働など計画は国民の理解が必要な措置を多く含む。政府は新社長などの人事を急ぐとともに、経営の監視を強めて改革の早期実行を迫る。
経産相は5月の大型連休明けに計画を認定する見通しだ。6月末に開く予定の株主総会後に、市場に流通しない特殊な株式(種類株)を引き受ける形で資本注入を実施。状況に応じて議決権の比率を当初の50%超から3分の2以上に高め、合併などの重要事項を決められる仕組みとする。
次期会長に内定している原子力損害賠償支援機構の下河辺和彦運営委員長は27日、東電の中堅・若手社員や機構から送る人員などからなる「経営改革本部」を株主総会後に設置すると表明した。本部は企業経営の経験がない新会長を補佐し、再建の実務を主導する。
家庭向けの値上げについて下河辺氏は「安定供給のためにはしかるべき時点で取り組まざるを得ない」と語り「理解をいただくための努力を尽くす」と強調した。東電の西沢俊夫社長は自身の経営責任に関して「5月の決算発表時に明らかにする」とし、後任の社長を含めた新体制の発表は5月半ばになるとの見方を示した。
新計画は家庭向けの値上げと柏崎刈羽原子力発電所の2013年度からの再稼働を前提にする。10%上げは一般家庭で月600円程度の負担増につながる見通しだ。
資材調達費や人件費などの削減により10年間で3兆3千億円規模の合理化策も盛り込んだ。下河辺氏は原発再稼働に向け「安全性の最大限の確保」を要件に挙げた。
計画には事業部門の独立を意識し社内カンパニーの導入を盛り込んだ。「火力・燃料」「送配電」「小売り」の3部門を12年度下期から社内カンパニーに移す。将来の持ち株会社への移行も視野に入れる。他社との提携などがしやすくなり、燃料の調達や火力発電所の更新などで負担軽減が進む余地が生まれる。
勝俣恒久会長ら現在の取締役の大半は退任する。社外からの監視を強化するため、株主総会では「委員会設置会社」への移行を決める。取締役会メンバーの過半は、機構が人選を進める社外取締役が占める見通しだ。
公的資金の注入や収益改善策を組み合わせた計画の着実な実施により、賠償や燃料費の増大で弱った東電の財務体質の立て直しを目指す。計画が認定されれば、東電は機構から引き続き賠償資金の援助を受ける。
東京電力、枝野幸男、西沢俊夫、勝俣恒久、値上げ
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