2000万基地局が創造する新ビジネス 無線LANの逆襲(2)
編集委員 松本敏明

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2010/4/6 9:00
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 2010年3月上旬、位置情報技術ベンチャーのクウジット(東京・港)が開発した「PlaceEngine」と呼ぶ技術を利用した「iPhone」用アプリケーションが突然、米アップルのアプリ販売サービス「App Store」で公開停止となった。PlaceEngineは無線LANの基地局(アクセスポイント)が発する電波を元にユーザーの現在地を推定する技術。「無線LAN電波情報の取得方法に関するApp Storeの審査で公開停止になった」(クウジットの末吉隆彦社長)という。

クウジットのPlaceEngineを活用したアプリケーションの例。測位用の無線LAN基地局を置くことで、ユーザーの移動履歴を3~5メートル単位で追跡できる
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クウジットのPlaceEngineを活用したアプリケーションの例。測位用の無線LAN基地局を置くことで、ユーザーの移動履歴を3~5メートル単位で追跡できる

 AR(拡張現実)ソフトとして注目を集める頓智・(トンチドット、東京・新宿)の「セカイカメラ」も、PlaceEngineを使っていて公開停止となったアプリの一つ。頓智・は急きょ、セカイカメラをPlaceEngineの技術を外したバージョンに作り替え、アップルの審査を通過させた。

 同じ時期にPlaceEngine以外にも無線LANの電波を扱うサービスが、App Storeから軒並み公開停止になった。関係者は「アップルが無線LANの電波の取得について、基準を見直しているのではないか」と推測する。アップルによる突然のアプリ公開停止は、逆説的に無線LAN基地局の活用という分野に注目を集める結果になった。実際、ここには大きなビジネスの可能性が隠れている。

2000万の無線LAN基地局で位置を推定

 「日本では2000万のアクセスポイントを確認している」――。無線LAN基地局の位置情報を応用したサービスを提供する米スカイフックワイヤレスの白英俊アジア担当シニアディレクターは、こう胸を張る。同社の技術はアップルやモトローラ、デルといった米大手がスマートフォンなどの機器に搭載し、約8000社のソフトウエア会社が位置情報サービスを使ったアプリケーションを開発している。地図ソフト上に都市のブロック単位で所在地を示したり、紛失したパソコンを追跡したりといった細かい精度の位置表示が得意だ。

 スカイフックの位置情報技術の仕組みはこうだ。あらかじめ対象エリアに調査用の自動車を走らせ、無線LAN基地局が発信するビーコン情報と信号強度を収集する。基地局は商用のものから一般家庭の無線LANルーターのようなものまですべて含む。これをオンライン上のデータベースに蓄積し、場所ごとの電波情報として整理していく。「日本の首都圏では国道16号線の内側にある2メートル幅以上の道路をすべて回った」(白シニアディレクター)。

 スカイフックのサービスに対応した端末は、その場で感知した無線LAN基地局の情報と電波強度をアプリでデータベースに送るだけ。それをスカイフックのデータベース内の情報と照合し、推定した現在地情報を受け取る。「目標は1秒以内に10~20メートルの誤差で99%の結果を返すこと」(白シニアディレクター)。

 同社は18カ月ごとに各地域をスキャンしてデータを更新するとともに、ユーザーからのリクエストに含まれる未知の基地局情報をデータベースに追加して精度を高めている。全世界の主要都市で収集した基地局の情報は1億9000万を超えているが、日本の首都圏はトップレベルで基地局が密集しているという。

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