「速い」「安い」「世界共通」で異常増殖 無線LANの逆襲(1)
編集委員 松本敏明

(1/2ページ)
2010/4/5 9:00
共有
保存
印刷
その他

 パソコンから周辺機器、さらに小型ゲーム機やAV機器へ――。無線LANを搭載した機器が増殖している。無線通信としては“枯れた技術”ながら、「高速」「安価」「世界共通」という強みを持ち、豊富な無線LANインフラを応用した新ビジネスも出現し始めた。次世代規格の携帯電話サービスをめざす通信会社にとっては「異端児」ともいえる無線LANの逆襲が始まった。

米国で3日に発売されたアップルの「iPad」(ロイター)
画像の拡大

米国で3日に発売されたアップルの「iPad」(ロイター)

 米アップルが4月3日に米国で発売した多機能携帯端末「iPad」。この日店頭に並んだのは無線LANの通信機能だけを備えたモデル。第3世代携帯電話(3G)機能を搭載するモデルは4月後半に出荷する予定だ。

 アップルは高機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone」でも、3G機能を外して無線LANしか持たないモデルとして携帯音楽プレーヤー「iPod Touch」を販売してきた。これは端末メーカーであるアップルにとって、3Gが必須の機能とは限らないことを物語っている。一方、iPadやiPhone、iPod Touchが提供するサービスに欠かせない機能として標準搭載しているのが無線LANなのだ。

前年比でユーザー数は2倍、端末も急増

 無線LANは、約10年前にパソコンから搭載が始まった無線通信技術で、データ通信を得意とする。最大の特徴は、免許不要の周波数帯を利用することで、個人や企業を問わず無線LANの基地局(アクセスポイント)を設置できるところにある。通信事業者が提供する公衆無線LANサービスのほか、個人などが設置したアクセスポイントからブロードバンド回線を経由してインターネットに接続できる。

 さらにイー・モバイルの「Pocket WiFi」など、無線ブロードバンドと無線LANを中継する製品も相次いで登場している。これらを使えば、ブロードバンド部分を無線にできるため、移動中でも無線LAN機器をネットに接続できる。

画像の拡大

 ユーザーにとってはすでに身近な存在だけにかえって気づかないが、無線LAN機能を搭載した端末は多様化の一途をたどっている。ノートパソコン本体やポータブル型のゲーム機にはほぼ標準で搭載され、最近は家庭用のプリンターやデジタルカメラも上位機種には無線LANが搭載されるようになった。

 2010年に入ってからパナソニックが、AV機器のブルーレイ・ディスク・レコーダー「ブルーレイディーガ」からテレビ「VIERA(ビエラ)」への映像伝送などに無線LANを採用した。最小でも毎秒25メガビットの高画質映像を屋内で送るには、高速なIEEE 802.11方式の無線LANが最適と判断したためだ。今後広がる家庭のネットワーク化で、無線LANが大きな役割を果たす契機となるかもしれない。

 無線LAN搭載端末の日本での販売台数は明かではないが、その増加ぶりは公衆無線LANサービスの利用状況から見て取れる。NTTグループの無線LANインフラを運営するNTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)の小林忠男代表取締役社長は「1年前に比べてユーザー数は2倍、アクセス数は約3倍に伸びた」という。同社が推測する現時点の無線LAN接続機器は国内で約4000万台以上。公衆無線LANサービスを展開するトリプレットゲートの原田実取締役・最高執行責任者(COO)はさらに「今後、毎年国内で2000万台を超える無線LAN端末が出荷されるのではないか」と市場の伸びを予測する。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

関連記事

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

北海道 7:01
7:00
東北 7:01
7:00
関東 7:01
7:01
東京 7:01
7:00
信越 7:01
7:01
東海 7:05
7:01
北陸 6:32
6:30
関西 6:01
6:00
中国 6:02
6:00
四国 6:02
6:00
九州
沖縄
6:00
20日 21:59

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報