テクノロジー考

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

「紙」の薄さに挑むリチウムイオン電池

(1/2ページ)
2010/4/2 9:00
共有
保存
印刷
その他

 リチウムイオン電池と言えば乾電池形や棒状、箱型が定番。電機や素材各社が小型・大容量を競うなか、紙のような超薄型の電池が登場した。数年後にはこの電池を挟んだ携帯型の表示機器で「電子新聞」や「電子本」を読むことも可能になりそうだ。

試作したリチウムイオン電池(三重県産業支援センター提供)
画像の拡大

試作したリチウムイオン電池(三重県産業支援センター提供)

 試作に成功したのは三重県の産学官連携チームで、文部科学省のプロジェクトとして実用化に取り組んできた。昨年秋の事業仕分けで一度“廃止”にされたが、野呂昭彦・三重県知事などの働き掛けで開発を再開した。

 試作版の極薄電池は、A6用紙サイズ(幅約10センチメートル、長さ約15センチメートル)で厚さが0.45ミリメートルという紙のようなリチウムイオン電池。出力は1.8ボルトで100回以上も充放電できることを確認済みだ。1回の充電で使える時間は単3形の10分の1程度だが、極めて薄いので複数枚重ねればその数だけ駆動時間を伸ばせる。もちろん1枚だけの使用時間を伸ばす研究は続ける。

 電解質は一般的なリチウムイオン電池に使う液体とは違う。形崩れしない固体のポリマーを採用した。液漏れなどの問題がない上、どのような形状にも切り取れる。電池は電解質膜を正極と負極で挟んだ3層構造。全工程を印刷だけで作れる点も製品化を考える上で魅力がある。

超薄型電池の開発チーム
機関名役割
三重県産業支援センター全体のとりまとめ
三重大学材料基礎研究、電池設計
三重県工業研究所特性評価
鈴鹿工業高等専門学校特性評価
キンセイマテック(大阪市)電極材料開発
クレハエラストマー(大阪市)製造プロセス開発
新神戸電機製造プロセス開発
凸版印刷製造プロセス開発
明成化学工業(京都市)ポリマー電解質開発

 「産学官の息の合った連携があったからこそここまできた」と三重県産業支援センターに所属してプロジェクトの代表を務める伊坪明事業総括は言う。三重大学が電池の設計を担当し、製紙工業用薬品メーカーの明成化学工業(京都市)がポリマー電解質膜、工業用素材原料メーカーのキンセイマテック(大阪市)が電極材料を開発した。

 産業用ゴム製品メーカーのクレハエラストマー(大阪市)と電池メーカーの新神戸電機、印刷大手の凸版印刷が製造プロセスを開発した。三重県工業研究所と鈴鹿工業高等専門学校が特性評価を受け持った。

 2008年度と09年度、9機関の連携で試作まではうまくいっていた。ところが昨年秋に予期せぬ危機に直面。新政権による事業仕分けで事業廃止にされたのだ。「こんなにうまくいっていたのに“まさか”“なぜ”と思った」(伊坪事業総括)。当初予定していた最終の10年度の2億円で参加企業が事業に結びつけるところまで持っていく予定だった。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

【PR】

テクノロジー考 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

都内で開いたnano tech2011の会場風景

ナノテクで猛追する海外勢
「日本の牙城」の過信は禁物

 「資源の無い日本はものづくりで生きていく」と国内で耳にタコができるほどよく聞く。技術を世界に売り込めなければ、存在感の薄い国になってしまう。ナノ…続き (2011/3/11)

山海教授(左)とヘッドマウント型ブレインインターフェース(右)

人体の機能を補助 「人支援技術産業」めざす筑波大の挑戦

 筑波大学の山海嘉之教授の研究グループが身体機能の補助技術や脳とコンピューターをつなぐシステム、体の状態を見守る装置などの研究を進めている。…続き (2011/3/4)

純度99.999%、重量約80キログラムの超高純度鉄(超高純度金属材料技術研究組合長崎試験場で)

日本発の「超高純度鉄」 世界標準へ

 日本生まれの「超高純度鉄」が世界の標準物質として活用される。開発者の安彦兼次・東北大学客員教授が日本とドイツの関連機関に登録を申請し、このほど認定を受けた。高温に強くさびないという優れた特性を持ちな…続き (2011/2/25)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

日経産業新聞 ピックアップ2017年5月30日付

2017年5月30日付

・システムの変更、簡単に履歴追跡 SCSKがツール、不具合原因、早期に発見
・脂肪肝、新標的で治療 独ベーリンガーが神戸大と、原因たんぱく質を特定
・ムーンスター、靴の廃材、9割を再生 福岡・久留米工場、地元企業と連携
・IHI、ターボ生産に60億円投資 燃費規制で需要増
・アイル、SEの負担軽減、残業ゼロ目指す…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

[PR]

関連媒体サイト